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ルームメイト

roommate001.jpg
2013年
古澤健 監督

北川景子、、、萩尾春海(派遣社員)
深田恭子、、、西村麗子(看護婦)
高良健吾、、、工藤謙介(萩尾春海の交通事故の加害者)
大塚千弘、、、殺される看護婦

ハリウッド映画の「ルームメイト」はかなりよかったが、こちらは設定はもっと凝っている。
「乖離性同一性障害」は度々ホラーサスペンス映画の主題となる。
あの「アイデンティティ」は物凄い緊張感で充満していた。
この映画でもその尋常でない心的世界を描く。
晴海主体でその視座から語られるため、彼女と共にこちらも混乱を極める。
手法として成功していると思う。

ルームシェアの時間が長かったが、基本独りであのマインドゲームをしていた分けである。
それは苦しく残酷なやりとりを繰り広げる煉獄のように悲惨な場所と言えよう。
あの母親との電話すら幻想なのである。
いや、麗子(マリ)の深夜の携帯の電話こそ深く、当時に直結していた。
その時間に未だに繋がっているのだ。
しかし、交通事故(それが不慮のものであったのかどうか)により、春海は麗子やマリとの関係を忘れてしまう。
交通事故がなければ、シリアルキラー人格は暴走しなっかたか。
少なくとも、麗子に目を離さず(疎遠にせず)関係性を保っていれば、マリの発動は抑制出来た可能性はある。
関係が忘れられたため、各人格は相克関係になってしまう。
保険交渉の代理人である麗子はマリに場所を奪われ機能しなくなり、保険会社の男にその存在を怪しまれることとなる。
独りで素敵なレストランに行き、独り言でも話していれば、訝る人がいても可笑しくない。
いろいろな局面で人格の破綻が露呈し始める。

しかし交通事故の加害者である工藤謙介がその立場を超えて、春海に深く関わってゆく。
それは、恋愛のレベルにも達する。


性的虐待を含め、少年(女)期に心に深い傷を負った人間は、途方もない重荷を背負わされ回り道を強いられる。
ここは凄まじく共感するところである。
この潜在し続ける時間流は、次の場所が明瞭に用意されない限り、断ち切ることはとても困難である。
人格から分離されたマリの受け持った殺意は、外傷経験に触れる(フラッシュバックする)物事-ヒトに対し過剰に反応する。
馴れ馴れしく男を物色している看護婦や身元を嗅ぎ回る保険屋、自分の他に目を向けられる存在に対しても。
防衛を超えた最早殺意の塊であり、シリアルキラーとしてその都度自立的に起動する。
少女期に自らを守る人格としてマリを生み出し母親を殺害し、その愛人を自殺に追い込む(これは当然の報い)。
自分の優しい対話の相手としての麗子(まさに看護婦)は、マリにとって変わられる。

もうひとり、自分の少女期を映すかのような境遇の少女エリに出逢い、その少女に「マリ」の人格を根付かせる。
その少女の外傷はマリに姿を変え、加害者の殺害へ向かわせた。
しかしそれを仕向けた主体である春海に阻止される。
工藤謙介の存在が、春海による人格統合を助けた。(少なくとも工藤が晴海の心を癒したことは確かであろう)。


深田恭子の鋭利な怪演は凄かった。最後に晴海に寄り添う麗子に落ち着いていることで、救われたことが分かる。
(エリという少女については、まだ全く問題は解消していないが)。
北川景子も繊細な演技が素晴らしかった。
高良健吾の役は、少し現実性に乏しい面はあった。彼女の中のひとつの人格のように動く面も見られた。
麗子-マリがまさに何でもお見通しであったのに似て。
彼は彼女の抱える苦悩を車ではねる瞬間に見て取ったというのか?
ともあれ彼が彼女の幻想でなくて救われたと言える。
最初は事故の罪を償おうという意識からであろうが、真に彼女を救いたいという気持ちになっていったということであろう。
そういう存在がなければ、彼女がこの磁場から解けることはない。







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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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