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イノセント・ガーデン

stoker001.jpg

Stoker
2013年
アメリカ・イギリス

パク・チャヌク監督

ミア・ワシコウスカ、、、インディア・ストーカー
ニコール・キッドマン、、、イヴリン・ストーカー(母)
マシュー・グッド、、、チャールズ・ストーカー(叔父)

「イノセント・ガーデン」、、、分かる邦題である。内容的にも合っていると思う。


灯りの使い方や質感、音響、クローズアップ、カットバック、フラッシュバックなどディテールからとても凝った演出であった。
(オープニングクレジットからして、演出・編集の凝り様は予感できるが)。
特有のフェティシズムも全体から匂い立つ。
インディアの鋭い五感の共鳴効果でもあろう。息苦しく酔う感じを覚える。
それは同時に異和感を醸す。
次第に強まる異様な雰囲気を役者からだけでなく、全ての事象から漏れるように仕掛けている。

突然現れた得体の知れぬ知人?が、飛んでもないサイコパスな人物であり、次々と残忍な事件を引き起こし周囲の人間を恐怖に陥れるというパタンは、既視感が充分である。
だがこの物語は、その人物の特殊な血を引き継いだ少女の資質も一気に引き金を引いたように解放されてしまうものだ。
もしかしたら、彼女を覚醒させた異常殺人犯よりも、更に恐ろしい存在と化すのかも知れない。
それまでのサイコスリラーとは一線を画するものでは、、、と思われる。(同様のものがあれば失礼)。
そこに至るまでの感性と感情の解放の過程が大変官能的に危うく描写されてゆく。

最初は、彼女自身自覚なく、強い感受性というより逸れたそれを持て余し自閉していると言ったところか。
そこに父の死が訪れる。
同時に得体の知れない(行方不明とされてきた)叔父のチャールズが触媒として現れる。
異常に仲の良かった父の死後である。
行方どころか存在すら一部の人間以外知られていなかった彼であるが、家族や知人にとっては、兄の死を悼み帰ってきたと思うのが自然であろう。
然程怪しまれなかったが、あからさまに危険を感じた人たちは、イヴリンにそれを知らせようとするが、その前にチャールズの手に掛かり殺されてゆく。
これは、自分の素性(子供の頃の庭での無邪気な弟殺しと病院への幽閉)を知られる恐れからというものより、自分をまた家族から引き離す恐れのある因子を消す意識に思える。(また恨みも感じられる)。
彼の兄(インディアの父)を殺害したのも、彼が帰ってきたチャールズを我家に迎え入れず、別の家と車とカードを彼に与えたためであった。弟を幼い頃殺害したのも、兄と弟の親密な関係に対する嫉妬からである。またも彼にその時の生々しい悲しみと絶望が帰ってきた(フラッシュバックした)と言えよう。

しかしそれ以外に彼には、殺戮の快感に浸る資質も備わっている。
それが、親族でもあるインディアの血にも脈々と受け継がれていた。
亡き父が彼女に猟を仕込んでいたのは、その血を動物へと向けさせるためであったはずだ。
剥製だらけの屋敷を母のイヴリンは気味悪がっていたが。(ある意味、父娘に対するそれでもあった)。
父親は極めて親密にインディアに関わり、彼女の本性が発動しないように他に解消させ続けていたのだ。
その分、母親とは疎遠となり、ほとんど口も聞かない間柄となっていた。
(基本、サイコパスは愛情関係は築けないと言われることが多い。叔父はしかし彼女を愛している節はあった)。
母もその娘の存在を持て余し、憎しみに近い感情を抱いていたが、夫の亡くなったことで異物感は更に生々しくなる。


父亡き後、極めて優れた知力と病んだ遺伝的因子を抱え、インディアの苦悩は続くが、、、
この叔父との接触で、箍が外れてしまう。
最初のうちは彼の存在を拒むが。
この叔父は、ごく幼い時期から彼女に同胞意識は抱いており、誕生日に必ず靴のプレゼントを送っていた。
そして18歳の誕生日には、ハイヒールである。自分が晴れて接触する日にそれを贈った意味は、、、。
(恐らく彼女の父はそれを一番恐れており、その阻止に失敗して殺されたと言えよう)。
叔父とのピアノの連弾でエクスタシーを得てからというもの。
彼の存在は日に日に大きくなってゆき、母親との奇妙な三角関係、目の前でのクラスメイトの殺害を経て、彼女は伸び伸びと毒々しく覚醒してゆく。

最後は、実に晴れやかな表情で警官を猟で仕留めるように殺している。


ニコール・キッドマンのある種イノセントな演技もミア・ワシコウスカの狂気を花開かせてゆく姿に鮮明な対比を見せて素敵であった。このひとはいくつになっても美しい。(失礼)。
だが何と言っても、ミア・ワシコウスカである。
不思議の国のアリスなど問題にならないほど魅惑的であった。(アリスではこの狂気の揺れ幅を演じるにも演じようがないか)。
まさに、身体そのものを使った狂気とエロティシズムの表現であった。


彼女の「ジェーン・エア」も是非観てみたい。
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