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小間使の日記

Le Journal d’une femme de chambre

Le Journal d’une femme de chambre
1966年
フランス、イタリア
ルイス・ブニュエル監督・脚本
ジャン=クロード・カリエール脚本
セルジュ・シルベルマン製作

オクターヴ・ミルボー原作

原作があるためか、他の彼の作品に比べ、プロットの構成に奇想天外さはない。
ルイス・ブニュエルを意識せずに観る事ができる映画だ。

ジャンヌ・モロー、、、セレスティーヌ(小間使い)
彼女を中心に映画は進行する。


昆虫学を治めていたブニュエル。
彼の興味を刺激する世界としてこんな世界に注目してみた、というところか、、、。
服飾品・家具・調度・写真などのフェティシズムの世界に凝固した中産階級の世界が描かれる。
ブーツのコレクション、アルバム作り、資産暮らしで働かず、隣人とは敵対関係を作り閉じ篭る。
何をやるでもなく過ごしてゆく、そんな閉ざされた生活の反復。

しかしはっきり固定された階級や上下関係を、ジャンヌ・モロー演じるセレスティーヌがその怪しい美貌でかき混ぜてしまう。
彼女は巴里という都会から来た洗練された魅惑的な女性である。
彼女は何故、田舎の堅苦しい中産階級の小間使としてやって来たのかは、明かにされない。
触媒的な彼女の存在によってにわかに、片田舎の保守的な静的秩序が揺れ動きはじめる。

彼女は毎夜、仕える主人の求めに従いブーツを履いて歩いて見せたりして職務に従順である。
そつなく、とてもよく働く。
しかしとらえどころはない、自由な精神の象徴的存在でもあるセレスティーヌ。
自分の感性や感情に正直に振舞う。
否定し合う隣人同士の間を構わず行き交う。
彼らの近傍に常にいて、中立を保つ。
とは言え下男のジョゼフが野卑で気味悪く、醜いので大嫌いである。

彼女は、小間使を辞め、巴里に帰ることにする。
しかし汽車を待つ間に、親身に接していた少女が強姦され惨殺されたという事件を知る。
彼女は、森と街を繋ぐ象徴的存在でもあった。
その少女が殺された森というのが、常日頃嫌悪の情を向けていたジョゼフがいつも通る道であった。
彼女は直感的にすぐさま、彼を強く疑う。

セレスティーヌはすぐに屋敷に戻る。
真相の究明に乗り出す。
殺された少女は野いちごとかたつむりを獲って歩く素朴な存在だ。
これを境に自然と頑なな文化との越境が起きる。
いつもやぎや鳥が殺されていくように、野蛮な暴挙が隣り合わせにある事実が顕になる。

セレスティーヌはジョゼフと結婚を約束するほどの親密な関係を結び、彼が犯人である事を暴こうとする。
彼女自体もこの過程を通し、アイデンティティは不安定の極みとなる。
身を呈した彼女の働きで何とか、ジョゼフを逮捕まで漕ぎ着ける。

しかし最終的に彼女も婚姻により中産階級の仲間入りをし、越境もしなくなることがはっきり示されて締めくくられる。
彼女も自ら、自由を失う。
閉塞感が強く漂う。
激しい活動等がそのやりきれなさを補強する。
結局、逮捕されたジョゼフは釈放され、店のオーナーとなっており、その活動の一端を担う立場ともなっていた。
やがて来る極右翼の全面的な野蛮な暴挙を予期させる行進のエンディングである。

重苦しい映画であった。
いつものルイス・ブニュエルのユーモアある軽みがない。




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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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