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ブルジョワジーの密かな愉しみ

Le Charme discret de la bourgeoisie

Le Charme discret de la bourgeoisie
1972年フランス
ルイス・ブニュエル監督

「ブルジョワジーの密かな愉しみ」とは実にお洒落で思わせぶりな題でよい。

ジャン=ピエール・カッセル、、、セネシャル
フェルナンド・レイ、、、ラファエル
ポール・フランクール、、、テブノ
デルフィーヌ・セイリグ、、、テブノ夫人
ステファーヌ・オードラン、、、セネシャル夫人
ビュル・オジェ、、、フローレンス
ほとんど、この6人連れで行動を共にしている。
つまり、食事をしようとしている。


結局、いつまでたっても、食いっぱぐれるブルジョアたちの話だ。
食欲・性欲はある意味、ブルジョアを象徴するものだ。
それを常に妨害され満たされない彼らは、夢と現の境のあやふやな世界を反復しながら、最後にやけに現実的な真っ直ぐに伸びる道を並んで歩いてゆく。
最後の道はそれまでの映画空間とは明らかに異なる光の下にある、リアリティに干からびた道である。ある意味、彼らに一番そぐわない道である。
何処のどういう道であるのか?
どのような意味があるのか、分からないが彼らが何をかはっきり受け入れた表情に見受けられる。
近くのレストランでも車で乗り入れる彼らが、ほぼ手ぶらで何もない一本道を進んでゆく。
倒れるまで歩んでゆくしかないような道だ。
わたしは、ゲームの上がりを求めていると想えた。
そう、完結を望んで、、、。


かなり優しい感じで気持ちよく流れてゆく映画である。
ある意味、とても見易い。
何故か、、、攻撃的なシニカルさがないからであろう。
シニカルだが滑稽で登場人物には愛嬌がある。
批判性がないところが一番良い。

接待と会食のシーンが形を変えて幾度も反復され、その間を繋ぐように死者や夢のシーンが現れる。
夢はブルジョアの仲間同士でリレーして繋がってゆき、現実に乗り上げたりもしていた。
しかし、どのシーンもすぐに中断され、それは多くの場合ドアベルや銃声である、そして夢や死者に強引に引き取られる。
様々な身分の人間が入り混じり混沌とするが、それを収めるがのごとく、彼らの中では食卓に着く椅子の順番に拘ったりする。
ともかくメニューを調べ食事内容に一流の拘りを窺わせるが、まともに何一つありつけない。
場面によっては、お茶やコーヒーすら飲めないのだ。(酒だけは呑めていたみたいだが)。
申し合わせた情事(不倫、、、これもブルジョアの特技か)も、いちいち邪魔が入る。

なかでも面白かったのは、どう間違えたのか招待されて食卓についたと思ったら、それが劇場の舞台の上であった。
これなど、とりわけこちらまで夢か現実か判断付け兼ねる秀逸な場面である。
幕が上がって、観客の前での彼らの慌て振りがまた面白い。プロンプターのいいなりに台詞まで喋ってしまうではないか。
慌てて逃げ出す彼らであるが、ここまで食事が摂れなければ、夢に会食が出てきたり、強迫的悪夢に悩まされても不思議はない。
夢は結構、唐突で残忍なものになってゆく。
夢(誰の見たものか?)もしまいには、テロに全員撃ち殺されるのだが、テーブルの下に隠れたひとりが手を伸ばし、食物に食らいついている様などもう流石である。

このような、唸ってしまう場面が多々有り、流れもよく軽みの心地よい実に練られた映画であった。
シュールレアリズムに落ち込まないギリギリの脚本・演出が光った。


登場人物たちにとってみれば、この完結しないエピソードの反復は、全員射殺の悪夢から言っても最期の局面を迎えたと言えようか。これ以上、夢は反復し得るか、、、。
生きる欲から吹っ切れてしまった人たちが気ままに、ただ真っ直ぐ歩いてゆく姿が妙にリアルである。
もはや、ブルジョアジーも何もない。
ただのわれわれである。
すでに体温が感じられない、、、。
熱から覚めたら、こうなるのだろう。











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