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サイコ

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Psycho
1960年アメリカ
アルフレッド・ヒッチコック監督

アンソニー・パーキンス、、、ノーマン・ベイツ(モーテル管理人のサイコ)
ジャネット・リー、、、マリオン・クレイン(ヒロインというかシャワー室で殺される女性)
ヴェラ・マイルズ、、、ライラ・クレイン(ジャネットの妹)
マーティン・バルサム、、、アーボガスト(私立探偵)

ちなみに
1998年のガス・ヴァン・サント監督によるリメイクも観た。

ヴィンス・ヴォーン、、、ノーマン・ベイツ(モーテル管理人のサイコ)
アン・ヘッシュ、、、マリオン・クレイン(ヒロインというかシャワー室で殺される女性)
ジュリアン・ムーア、、、ライラ・クレイン(ジャネットの妹)
ウィリアム・H・メイシー、、、アーボガスト(私立探偵)


何とリメイクとはコピーであった。
オリジナル作の忠実なカラー再現となっていた。
これはこれで凄い。
ここまで徹底するのは、度が過ぎている感もある。
間の取り方が、僅かに異なっていたりするが、それはリメイク版の方がディテールに詳細であるからか。
殺され方が時代性もあってのことか、より酷い逆に言えば即物的ー生理的な演出にはなっている。
(マリオンの瞳孔が開いていくシーンは面白い)。
役者は、アンソニー・パーキンス以外ではリメイク版の私立探偵に味があったが、それ以外はどちらも微妙であった。
不動産屋の社長が両者雰囲気がそっくりだったのには驚いた。

しかし見終わって、そもそもリメイクする理由が分からなかった。
(身も蓋もないか)。
通常はカラーより白黒の方が格調高いものであることが多いが、これはカラー作品もかなり良かった。
逆に、ここまで質的に近いものであれば、何故また撮り直す必要があったのかと思ってしまうものだ。
2作観ても、1作語れば用の足りるものか。(ヒッチコックの手法について語るだけのものになろう。とは言え多くを語る用意もないが)。


基本的にヒッチコック監督の姿勢は、「北北西に進路を取れ」と変わらず、ギリギリまで余分な動きや台詞、音、心理、感情を削ぎ落とし、技術的な追求で各要素を究極的なフォルムに作り上げてゆく方向性であろう。
また、ここでも不在のモノが、最後まで物語を禍々しい闇の権力で動かし続ける。
それは前半から現れる鳥の剥製の触感として、窓越しの人影としてずっと物語の基調をなし、最後のノーマンの母の姿に極まる。
ピーナツだろうか、ノーマンの動揺を表す心理小物の演出などは流石に気が利いている。
高台にある古く気味の悪い屋敷の姿は、あらぬものを内包する大物演出装置であろう。
ピーナツ食べながら黒い沼に沈んでゆく車を、われわれはノーマンと共に息を殺して見守る。
ほっとして、多分両者に笑が浮かぶ、、、。

この映画を特に印象的なものに染めているのは、ヒロインと思しき女性が中盤までに、惨殺されてしまうところか。
彼女をその時間流に誘い込むのが、ワイパーが効かぬ程に視界を奪う大雨である。
いやその前に自らマリオンは、罠(会社の現金の束に目が眩む)に掛かっていた。
信号待ちの交差点で社長に出会った時が、「戻る」最後のチャンスであったはず。

本作品以外にも、ヒロインが中間で殺されるものは確かにあるが、この映画はその先の展開にも淀みがない。
マリオンの跡を追う探偵もあっさり殺され、彼女の妹と恋人が事の深刻さを悟り、安否を探り深みに入ってゆくが。
ノーマンという存在の闇は、彼らの価値観や想像を絶していた。
その異質性、人格の解体した存在自体の苦悶はマリオンにも微かに感じられ、身の危険も察知していたが、、、。
アイデンティティが「母という死者」に乗っ取られた空虚の中心に、姉たちは抗いようもなく吸い込まれてしまったのだ。
会社のお金を着服するなどという日常的私欲などとは、次元の異なる「罠」に彼女らはハマってしまったと言える。



心理学者のご丁寧な解説は充分なものだった。
「羊たちの沈黙」「アイデンティティ」に連結してゆく物語の始まりであったことに違いない。

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ここでは、母親という反復・回帰する激烈な病根の存在についても物語っている。
この映画の説得力でもある。

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