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北北西に進路を取れ

North by Northwest

North by Northwest
1959年アメリカ
アルフレッド・ヒッチコック監督


ケーリー・グラント、、、ロジャー・ソーンヒル
エヴァ・マリー・セイント、、、イヴ・ケンドール
ジェームズ・メイソン、、、フィリップ・ヴァンダム

無駄のない非常に洗練された演出を感じたものだが、落ち着いて考えると純粋に技術的に幾何学的に構築されたシーンの集合体だと分かる。
思い起こせば最初のタイトルクレジットが、平行線と垂直線の交差を斜め上から俯瞰するニューヨークの高層ビルに移り変わるところから、この映画の構造が透けていた。

マッチやハンカチのロゴマーク"ROT"のデザインは抽象的な主人公の名刺に打って付けである。
高層ビルから見下ろす地上の幾何学的模様が象徴的なイメージへの変質とともに黄色い主人公の乗る車が発進してゆく。
交差点、幾つもの直線、方向(矢印)幾何学的な迷路を登場人物たちは巡る。
途轍もなく広大な埃っぽい平地を猛スピードで真っ直ぐに走り去ってゆく車。
そして怪しい予感を白く振り撒きながら地平線上をゆるゆると飛んでくるプロペラ機。
白昼の悪夢が機械的に舞い降りては主人公に襲いかかる。
様々な悪夢ー誘拐、逃亡、罠、恋、殺意が連鎖してゆく。
最後は4人の大統領が彫り込まれた夜のラシュモア山での悪夢。
言葉や文字、タイミングを図っての逃亡が、息詰まる滑りやすい足場の巨大な岩肌を渡る逃亡へと。

この逃亡劇、高みからの俯瞰構図と上下の運動が多かった。
これは格別重要な要素だ。

主人公は日常の文脈から唐突に引き剥がされる。
そしてありもしない虚構の時空間に放り込まれる。
カプランという不在者の名とソーンヒルという実名の間を行き来しつつ。
やがては何を演じているかも判然としない存在(演者)となる。
ずっと絡み合うことになった密輸組織のボス、ヴァンダムにも指摘される。
「お前はレパートリーが広いな。」
不思議の国のアリスみたいに発狂した時間流に乗って、分岐点を飛び移りながら流れてゆくしかない。
そこでは、このような時間のなかでしか、生じようのない、恋も燃え上がる。
案外、列車を降り日常時間に接続したところでスイッチを切ったように、終わる恋かも知れないが。

目を離せない生理的に吸い込まれる映画だ。
最近、この感覚の映画を観た覚えがある。


言葉やディテール、ショット・カメラ、編集による要素を如何に効果的に作り込むか。
大変システマチックに生み出された映画のエクリチュールそのものを魅せられた思いだ、、、。

エヴァ・マリー・セイントは、このアーティフィシャルな映画にピッタリ合ったヒロインであった。
ケーリー・グラントも「サンダーバード」の人形に見えるところもあってよかったのだが、もう少し人間の体温を感じさせないタイプの俳優が合っていたと思う。
リメイクするようなことがあれば、音楽はクラフトワークがよい。


確かにこれは、「去年マリエンバートで」の先駆的位置にいるのかも知れない。
質感からして似ている。


昨日は、腰が痛くアップどころではなかった。
今日も、まだまだである。
無理せず、何か観たい。

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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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