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現金に手を出すな

Jean Gabin

Touchez pas au Grisbi
1954年フランス・イタリア
ジャック・ベッケル監督

ジャン・ギャバン、、、マックス
ルネ・ダリー、、、リトン
ポール・フランクール、、、ピエロ
ジャンヌ・モロー、、、ジョジィ


風格のある映画というか、官能的な映画である。
「映画」という「モノ」の魅力をたっぷり味わった。

「現金に手を出すな」という場面ー内容はなかった、、、。
金の延べ棒は現金にはならなかった。
しかし何ともぴったり合ったような、題なのである。


派手な銃撃戦やカーチェイスやアクションはない。
含みを持ったぶっきらぼうな台詞回しとビンタ(ハードボイルドだが情がある)、威厳と風格が何より際立つ。
人物たちの重みある陰影にすこぶるリアリティを感じる。
特にマックスとピエロそしてカフェの女主人などの粋な個性と存在感は消し難い印象を残す。

危なっかしい程の長回しで、日常の所作を見せるところなども斬新であった。
ギャングの側面よりその人の何気ない佇まいや所作の魅力を見せて厚みをもたせている。
歯磨きや食事の絵がこれ程、鑑賞に値するものになるのだ。
電話のダイヤルを回すとき老眼鏡を掛けるシーンさえも。
ディテールのよく描かれた映画である。
ナイトクラブでの踊り子のステージも、ちょっとした御座なりな背景ではなく、かなりしっかり魅せるものになっていた。
車のシーケンスがまた趣き深い。
登場する車種も多く、嬉しくなってくる。
車の乗り降り、運転の仕方や車中でのやりとり、かなり車の一連のシーンには独特の雰囲気が漂う。
白いクライスラー・インペリアルはカッコ良い。しかもマックスに実に似合う。
マックスお気に入りとして流れるブルース曲も味わい深い。
演出が渋くて濃いのだ。

更に、登場人物全てに重みがある。(非常に割腹がよい)。
特にマックスたち長老陣の方は、普通に歩くのも、こちらが不安を感じる程だ。
だから掟も仁義もない若手の反逆者たち相手にどう立ち回るのかと思うと、、、
長年自分の脚を引っ張り続けてきた、ちょっとオマヌケの相棒リトンとの友情を優先にして、余りに素直な対応に出る。
人の情を重んじるマックスたちだ。(この辺は日本の高倉健にも通じる)。
彼はこのリトンを弟分と思っていることがこちらにも伝わってくる。
しかし敵の裏をかく蓄積してきたノウハウもあると思うのだが、何とも斬新な対処に思える。

相手の出方-奸計に対し、適確に反撃が出来るところはやはり年輪のなせる業だ。
度胸が据わっており、スピーディではないが無駄もない。指示の出し方など渋い。

そして、結局折角金を無駄にして助け出した親友リトンを失い、目をかけていた若いギャングも命を落としてしまう。
えも言われぬ孤独感を湛えるマックス、というよりジャン・ギャバン。
最後の、美しい愛人を傍らにレストランを訪れるシーンがより一層それを際立てる。


こういう味わいのある作品というのは、作る人も演じる人も、もういないのではないか、と感じてしまう。
ジャン・ギャバンのような俳優、思いつかない。

ジャンヌ・モローはこの頃は、まだ非常に若く軽い役であったが、あの個性と存在感はすでに滲ませている。



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