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森崎書店の日々

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2010年
日向朝子監督・脚本

菊池亜希子、、、貴子
内藤剛志、、、悟
田中麗奈、、、トモコ


菊池亜希子主演映画としては、「よだかの星」以来である。
そちらと違い、所謂映画となっていた。
彼女にもしっくりきていて、落ち着いた自然な空気が流れてゆく。
会社を辞めて身を寄せる神田の古本屋の舞台も、なかなか雰囲気はよい。
わたしも毎週欠かさず通っていた時期がある。
(勿論、秋葉原~神保町を)
しかし、その思い入れを刺激するほどの深入りは無い。
実にさらっとしている。
対象における距離感やディテールがほぼ一定であり、時空間の平板さは感じられた。
主題は、新たな場所と人との交感を通して、貴子の立ち直りを描いてゆくものであろうことは始まりから分かっているものだ。
だが人物描写がいまひとつ弱く、単なる道具立ては、それ以上でもそれ以下でもない。


ホントにこぢんまりとした空間に、持ち越した想念(失恋の鈍痛)は沈殿してゆく、、、。
だから貴子はよく寝る。
しかし、風通しはよく、それ程重くはならない。
適度に距離感をもって、店主の叔父である悟やトモコや本好きの常連が淀みを掻き混ぜてはくれる。
だがそれ以前に漂う爽やかさ。
これは、貴子というより菊池亜希子という女優の個性にも思える。
ただ、「舟を編む」とか「四月物語」と比べてしまうと、何か単調で陰影に欠ける気はする。
主人公たちと本が醸す雰囲気がそれらの作品を連想させてしまうのだが、、、。

主演である悟演ずる内藤剛志と貴子演ずる菊池亜希子とがそれほどぴったりな気がしなかった。
決してどこか悪いわけではなく、演技に問題があるわけでもない。
しかし例えば、「舟を編む」の宮崎あおいと松田龍平のような、これ以外にありえない、みたいなコンビには思えなかった。
それから、カメラ、演出、テンポ、曇ったり晴れたり雨が降ったりの情景の深みであろうか。
「四月物語」のあそこまでの叙情性はここでは必要ないものであろうが、、、。
コインランドリーでの貴子の倦怠の内に自ずと立ち現れるダブルイメージなどは、効果的であった。
この乾いた幻想(白昼夢)やフラッシュバックなど、もう少しあってもよかったかも知れない。
(くどくならぬ程度に)。
淡々とゆっくり描くことを主眼にしていることは、よくわかる。

(元)彼氏が貴子に「ブレード・ランナー」がよいとしきりに言っているのに、わたしSF映画とか見ないし、、、とかあっさり返しているところなど、後半から徐々に好感のもてる女性になってゆくが、結構つまらない退屈な女だなとは思った。
(演じる菊池亜希子氏はエッセイやファッション関係(ライフスタイルの提唱)で多くの信奉者をもつカリスマモデルのようだが)。
何というか、これといって拘りも、何かに強い関心ももたない女性は、やはり引っ掛かりがない。
これでは、付き合ってみても面白くないはず。
単に相手が悪いと断じているが、自己対象化をまずしっかりするべきであろう。
(その後、必要があれば元彼のところに乗り込むもよし。ただし独りで(笑)。


最近、人気の高いモデルの市川沙耶氏などは、相撲や鉄道、フィギュアなどに非常にディープな関心と知識を持ち、更にそこから事象一般へと敷衍する能力を披露している。
そのへんがモテる所以なのだと思う。(菊池亜希子氏もそうである)。

貴子が本を読み始めたら、生気が感じられるようになる。
6000冊古本を抱える狭い本屋に住んでいるのだし、これで本のひとつも読まなかったら、不自然だ。
本は確実にわれわれを深い迷宮に突き落としてくれるが、無明で曖昧模糊とした世界にぼんやり生きていては分からない、形ー構造を示してくれる。枠ー世界を身体的に感知させてくれる。

ここでの貴子も、漠然とした自立の意欲に湧いてくるが、例え意識化されていなくても、「世界に対する手応え」を読書を通して得たのだと推測できる。「本の発見」は大きい!それが古本であればなお趣き深い。(古い本のFetishな魅力ももう少し魅せて欲しかった)。
勿論、叔父悟の優しい励ましや、常連さんの蘊蓄や、トモコの価値を自ら作ってゆきたいという理想が、貴子を揺さぶったことも間違いなかろう。
少し描写は淡白に感じたが、神保町の街自体(カフェなど)もこころを癒す場所であったはず。

最後に貴子は、叔父の元を離れ自活する事を告げて終わるが、本はこの先も手放さないのではないか、と思う。



少し注文を書いてしまったが、菊池亜希子主演としては、「よだかの星」より遥かによかった。
今度、彼女主演の吉本バナナ原作の映画をぜひ観てみたい。


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