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白熱

James Cagney

White Heat
1949アメリカ
白黒
ラオール・ウォルシュ監督
アイヴァン・ゴフ、ベン・ロバーツ脚本

ジェームズ・キャグニー、、、ギャングのボス コーディ・ジャレット
エドモンド・オブライエン、、、FBI ハンク・ファロン
マーガレット・ワイチャーリイ、、、コーディの母 マー・ジャレット
ヴァージニア・メイヨ、、、コーディの情婦 バーナ

サスペンス映画の教科書みたいな作品である。
まさに職人芸を見る思いだ。
機械的に最後まで目を離すことなく観てしまう映画である。

裏切りと駆け引き、策略の錯綜するなかで、コーディ・ジャレットの冷酷で残虐な個性が炸裂する。
その強烈さはどこか無邪気で可愛気もあり、憎めないところがある。
彼をうまく騙し、刑務所で弟分となり、罪を暴こうとするハンク・ファロンの大変な大芝居も見ものである。
はっきり言って、こんなに骨の折れる危険極まりない仕事、よく引き受けたものである。
有能な捜査官であれば、悪人にもどこかで顔を知られているものだ。

コーディの情婦のバーナが、また思い切りいけ好かない狡い女を演じきっていた。
ギャングの女というものは、こういうものだという象徴であろうか。
可愛気もあるが、世渡りに長けた大した玉である。

そしてこの映画の流れは、コーディのハンクに対する友情の深まりに即して進んでゆくが、その強固な軸となっているのは彼の母子関係でのうちに育まれた精神である。
この濃密で尋常でない母子関係こそ、彼の犯罪者としての本質的を形成している。
マザコンどころの話ではない。一頃流行った、母原病でも甘い。
世界一の犯罪者になりなさい、という英才教育を一途に行ってきたのだ。
どれほど凄まじい家庭環境で育ってきたものか。
母子関係は、その人間の生の基調を決める事は確かである。
父親も発狂して死んでいるらしい。
母親の教育と彼女の無意識にどっぷり浸かり、大人になってギャングの親分となってもまだ生々しく母親の強い影響下に居続けるのだ。
凄い人になっていても不思議でない。
そして激しい頭痛の発作(なんであろう?癇癪か?)ももっていて、それがまたカリスマ性を際立たせる。
あのにやにやしながら躊躇なく撃ち殺す、素早い決断と動きー所作は悪人たちにも畏敬の念を抱かせるに充分だ。
刑務所の昼食時に母が暗殺されたことを聞き、狂乱する姿など彼の心象が端的に強烈に現れている。
ジェームズ・キャグニー見事な怪演である。

ここに絡む刑事も凄い。
人の取り込みが巧みである。
母親しか信じない疑り深い男である。
自分を第二の母、少なくとも身内並に信用させるのだ。豊臣秀吉級の手腕である。一種の包容力か。
その過程が、ドキドキものなのだが、その間裏切り者の車のトランク越しや扉越しの銃殺なども行っていく。
バレたらイチコロのところをFBIとの交信も図りつつ親密な行動を共にしてゆくのだ。
綱渡りもいいところだ。

最後にやはりコーディの仲間からハンクの顔がわれ、これまで信じていた分、親分大激怒となる。
しかし、ハンクのあらかじめ打っていた手で、警察が大勢集まり、危機一髪のところで彼は逃れる。
激しい銃撃戦の末、追い詰められたコーディは化学コンビナート工場で「世界一」の華々しさで散る。


わたしとしては特に、FBIに通信信号を発しながらハンクが金庫破りに向かう「トロイの木馬」トレーラーに乗ってゆくのだが、それを受信しつつ場所を特定する警官たちの姿が面白かった。
パトカーの屋根についた可動式のレーダーアンテナとその位置確認をその都度しながら地図に座標をひいて、その位置をまたパトカーに戻す場面など、それだけでなにかワクワクしてしまう要素があった。
あのピカピカした回るレダーアンテナが一際印象に残る。


この映画がその後の様々な映画製作の模範例となり、アイデアやヒントをたくさん与えている事は確かである。
コーディ・ジャレット程の厚みを持った凶悪犯が、どれだけ生まれたかは知らないが。

見応え、充分であった。


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