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愛しのタチアナ

TATIANA001.jpg

TAKE CARE OF YOUR SCARF, TATIANA
1994年
フィンランド
アキ・カウリスマキ監督・脚本・製作・編集


シュールな映画だ。
「ルアーブルの靴磨き」は見応えはあったが、こんなにシュールではなかった。
カルチャーショックもかなり受けた。
まさに外国を味わったと言える。
ロックはともかく、バックに流れるクラシックはよかった。
ロードムービーである。

何というか、小津映画とはまた異なる「間」が特徴であった。
ジャームッシュ監督にも近いものを感じる。
無口でユーモラスな男2人と妙に辛抱強い女2人組みで港まで旅をする。
その港が結構遠く、途中でホテルに泊まったりして行く。
いや、そもそもフィンランド人の2人の男が何故、突然車で旅を始めたのか、何処に行くつもりだったのかが不明なのだ。
エストニアの女タチアナとロシアの女が、バスの故障のため車に同乗させて欲しいというところから、4人旅となる。
ありそうで、なさそうな話だ。
途中でサイレント映画を観ている感覚にも陥る。

1994年ということもあるが、妙に古めかしい車、孤独な墓石のようなガソリンスタンド、日本のグループサウンズみたいなロッカーたちや、スロットローディング式のレコード(塩化ビール)プレーヤーとか、独特のコーヒーミル(車にも取り付けていた)など風物がいちいち珍しい。
それらが充分興味深いものであったが、一番面白かったのは、4人のヒトである。
洋裁屋の男は、コーヒーばかり飲んで(出掛ける前にコーヒーが切れていたことに腹を立てママをクローゼットに閉じ込めている)、動車修理工のロッカー気取りの相棒はウォッカの一気飲み専門でふたりともほとんど口をきかない。
エストニアの女は少しだけフィンランドの言葉が話せるが、必要最低限の話のみ。ロシア出身の女は少しはイヤミは言うが、ともに男たちのぶっきらぼうで無粋なペースに付き合い、辛抱強い。(ヒッチハイクを頼んだこともあってか)

しかし、4人で一緒に長時間を共にする割に、これだけ会話のない関係は厳しくないか。
しかもホテルは男女でのペア二部屋である。
普通は、男女2人ずつの二部屋ではないか。
でも、一言も話さず一夜を明かす。
これは奇妙であった。
4人でひとつのテーブルで食事も摂るが、ここでも会話は一切なし。
もう一夜は、車の中か、、、よくわからない。

そして、港に着くと流石にお互いにお別れの言葉を一言ボソッと交わし、女たちは船へ。
しかし、何故かカフェイン中とアル中の男二人も無言で船に乗って来ている、、、。
ロッカー気取りの男とタチアナの間に、無言の意思疎通と惹かれ合いが生じていたのだ。
船のロビーでのふたりの光景は昔の日本映画みたいであった。
ロシアの女は列車に乗って帰り、車でどうやらタチアナの住む家まで3人でやって来る。
洋裁屋の男が相棒にもう帰ろうと言うが、彼はおれはここに残って作家になる!と言ってタチアナの家に入っていってしまう。
ここに残るぜ、、、だけでなく作家になるとも!?、、、。
やはり面白すぎるヒトたちだ。
何かが確実に違うのだが、どう違うといえばよいのか。

コーヒー飲みの男は、ひとり家に戻り、母親を閉じ込めたクローゼット?から出し、何もなかったかのようにミシンを動かし始める。
彼の新たな日常が始まった。
旅の経験がどう作用するのか分からないが、相棒がいなくなったのは確かである。


これといったセリフがほとんどない。
行動にも、特に男たちの動きには目的も根拠も見つからない。
ただ、コーヒーを飲みウォッカを一気飲みし、4人とも好き勝手にタバコをふかす。
そう女たちも終盤、退屈からかタチアナがバックから取り出した酒を二人でグイグイ飲んでいた。

確かにこういった感じの映画は幾つも見てきたことに気づく。
大概、思わせぶりなもので見るのが辛くなってゆく。
だがこの映画にそのような臭みは一切なかった。

とてもすっきりしている。
高い純度を感じた。


それにしても面白い(変わった)映画である。
奇妙な余韻に浸りワインを飲んでいる。
(流石にわたしも酒が呑みたくなったものだ)。

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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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