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野火

nobi.jpg

Fires of the Plain
1959年
市川崑監督

英語の題もついていた。

大岡昇平の小説を原作としている。
「野火」は中学生の頃読んだ。
デジャヴのことが書かれていて、友達と議論?した覚えがある。
人にとって記憶の問題は大きい。
しかし、この映画ではそれについては、何も触れられない。
ちなみに、ジャメヴ「未視感」的な場面は幾つか後半にあったと思う。

船越英二、、、田村一等兵

極限状態にあって、半分魂の抜けた役柄だ。
しかしながら壮絶である。
飄々と修羅場をすり抜けてゆく無表情の兵士いや全てから解かれたヒトである。
(こんな相貌を時折、見かけることはある)。


立場が微妙だ。
結核であるため原隊から厄介払いされ、病院に行っても追い返され、結局レイテ島の戦線において帰属できる場所のない何者でもないヒトになってしまった。
しかしすでに日本軍そのものが実質、体制(命令系統・情報)は解体している。
(そして放置されている分、われわれの今現在にひどく近いと思うのはわたしだけか?)
その外観から米軍や現地人(村人)には日本兵と認知されるとは言え、箍はハズれ空腹と虚無感の内に誰もが日本軍兵士という意識は薄れていた。また、途轍もない悪夢の雨季である。取り敢えずの集合先に吸い寄せられるようにして、魂を失った亡霊のように彼らは歩く。そして人形のように忽然と倒れ死ぬ。
自分が何者であるかも判然としない。
米軍(確かと思われるもの)に助けを求めようとするものも出てくる。
しかし、田村はそれも選ばない。
何も選べないために、いかがわしい他の隊の隊長の後を取り敢えずついて行く。

集合場所とされるパロンポンとは何処から来た情報なのか?
(命をかけた情報などいつもすれ違いざまの怪しい口伝えではなかったか?何故人はすぐに噂を容易に信じ込むのか?)
そこを目指す途上の光景はもはやこの世とは思えない。
行き倒れの者の靴を脱がせて自分の靴を履き替え、捨てられた靴を次の者が履いてゆく動作が実に機械的に繋がってゆく。
こんな光景、既視感がある。

戦場が舞台となっているが戦闘場面などなく、一方的に何処から来るともなく爆撃や銃弾が襲ってくる。
皆、突然死ぬ。
勿論、戦地である。いや、生きていれば、いつ死ぬか分からないことは分かっている。
だが、それでも死は突然やって来る。
心の準備などない。
そんなこと、何処にあっても同様でないか?


パロンポンに向け夢遊病者の如く歩んでいた一行は、当たり前のようにほとんど狙い撃ちされて死ぬ。

後はどこにゆくのか?
田村の置かれたところでは、、、。
「猿」を殺して食いつなぎつつ生きながらえるか、野火のもと、現地の百姓たちのいる場所に危険を顧みず向かうか。

結局「猿」を殺して食っているこれまで共に来た馴染みの兵士を彼は銃で撃つ。
もはや血だらけの口のその兵士は、田村にとり、見知らぬ何かであった。
それは、認めがたい状況であった。(すべてを終わらせたかったのか)。
そして一目普通の生活を見たいがために、田村は野火のもとに手をあげて走り出す。
これまで、何度も謎の狼煙―徴として彼の脳裏に残っていたあの火であった。
現状を脱するに、それが彼にとっての唯一の選択となった。
だが野火からは、銃弾が情け容赦なく、彼向けて飛んでくるのだ。


今は銃弾は余程のことがない限り、降り注いでは来ない。
しかしそれが何であるにせよ、突然襲いかかってくるものに応えられる方法をもっている人は少ないはず。
準備は怠れない。







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