シャーロック・ホームズVSモンスター

SHERLOCK HOLMES
2010年アメリカ製作
レイチェル・ゴールデンバーグ監督
単に”SHERLOCK HOLMES”という名の映画だったのか、、、?
ジョン・ワトソン氏の亡くなる直前にメイドに口述筆記させた「死んだ友人の最も偉大で世に知られていない功績」の話である、ということで、語られる内容が描写されてゆく、よくあるパタンである。
アルバトロスの映画である。
その方向での期待高まる作品。
この映画は”スチームパンク”作品といえよう。
ジュール・ヴェルヌ、H.Gウェルズ、コナン・ドイル、、、確かにホームズのヴィクトリア朝時代は、内燃機関の発明による産業革命の結果、人間の想像力も飛躍した時代である。
産業を拡張するテクノロジーだけでなく、怪しげなものも沢山輩出したはず。
レトロフューチャーな演出は、メカや建築、ヴィクトリア朝衣装にも色濃く見られた。
その時代錯誤的な架空の雰囲気作りはまずまずだと思われる。
特に、ロンドンの夜空をメカドラゴンと気球戦闘機が闘う場面は良かった。
VFX的にもう少し踏み込んで欲しいところだがかなり良いシーンである。
ホームズの兄のメカスーツもなかなかのものであった。
ただ、ストーリーの上で意味もなく長く挿入される、森を走るシーンや海を臨む断崖を途中まで降りかけてみるシーンが邪魔である。
また、噴水の給水ポンプを千切り取るためにメカ恐竜を使うというのもあまりにナンセンスな箇所であった。
メカ大ダコやメカ恐竜、にメカドラゴン更に体が不随なのに意のままに動かせるメカスーツまで作っているのだ。給水ポンプくらい自分で作ったらどうか。
また、敢えて巨大ダコや恐竜を作る必然性があったのかどうかも疑問だ。
もっと、コスパの良い方法はいくらでもあろうに。
メカスーツと女性アンドロイドとメカドラゴンは必要だろうが。
そもそもありえないオーバーテクノロジーであるが、まあ天才なら設計図くらいは作れると譲歩しても、それを作るだけの設備と資本関係には、少し納得できる背景を用意しておいた方が見易かった。
またワトソン君も全く疑いも持たないほどの女性型アンドロイドも、ちょっと出来過ぎではないか?
勿論、架空のファンタジックテクノロジーでありその根拠を示す必要はないが、出来過ぎというのも違和感を高める。
何処かにぎこちなさも欲しい。
蒸気を脳天から吹くとか、、、まさにスチームパンクである、、、。
其の辺があっての、マッドサイエンティストであろう。
しかし、このお兄さん(マイクロフト?)警官ではなかったか、、、?
ロンドンを焼き払う根拠がよく解らない逆恨みでもあり、これだけの発明が出来るならそちらで有名になり持て囃されてもよかろうにとか、もう挙げればキリはない。
主役のホームズとワトソンは、他の点から見ればさほど問題は感じられないが、ホームズのイメージはちょっと違うかなとは、ずっと引っかかり続けた。(ワトソン君もちょっとパンパンすぎだ)。
それから、今思い至ったのだが、探偵ものとしての謎解きがあった記憶がない(爆。
給水ポンプの1件は到底謎解きには見えないし、城を突き止めたところも、謎解きとかいうレベルではなかろう。
日本の2時間もの探偵ドラマの謎解きくらいは複雑な線を辿って欲しい。
結局ホームズは気球でドラゴンを撃退した勇者か?
探偵はどこ行った、、、。
だが、スチームパンクとしての雰囲気はまずまずであったと思う。
脚本をもっと丁寧に練ってもらえば全体の雰囲気自体は良く、佳作映画になり得ていたのではないか、、、。
DVDのパッケージデザインは、あんまりだ。
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