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立体の認識

headset.jpg

われわれの生活において視覚の占める部分が如何に大きいか、今更ではないがつくづく感じた。

赤ん坊が獲得する立体感は、其の物のあるところにはいはいして行き、手で触ったり舐めたりを繰り返すことで得られる。
目ではまだ何も確認出来ない。距離と立体感は視覚だけでは得られない。
移動運動と触覚によって立体感を含む空間感覚が獲得される。
ある意味、視覚と触覚は不可分であった。

だが、一度身に付いた空間感覚、立体感(形状感覚含む)は、視覚に統合される。
視覚だけで認識ができる。
五感は全て視覚に左右される。
視覚で感覚の全てを操り、擬空間に「没入」させる事が可能であるようだ。
触覚による形態知覚を視覚によって操作するのも容易である様子が窺えた。
寒暖の感覚も視覚次第である。

NHKでやっているサイエンス紹介番組をたまたま見たのだが、VRの特集であった。
ヘッドセットをつけた司会者が、スキージャンプのシュミレーションで恐怖に尻餅をついていた。
怖い怖いと驚くばかり、、、。
そうなのだ。
最近のVRは、その「没入感」で特にゲーム業界に深く浸透しつつある。
(ゲームのみならず、様々な実用的な分野にも進出を始めた)。
ジャイロセンサーと加速度センサーによる追従性がとびきり良くなったおかげで、普通に見渡すのと変わりなく「外界」を見れる。
しかも視野角がこれまた普通に見るのと同等に広く(100度)、その上充分に高画質なのだ。
もう、そこにいるとしか思えない。
恐怖も寒さも感じる!

つまり、取り囲まれている世界に対し「違和感」がなくなる。
これに司会者たちは、驚いているのだ。
その特異でお手軽な自然さに、、、。
行こうと思えば、アルプス山脈のてっぺんにいるプログラムを起動させれば、その場でそれを十全に味わうことが出来る。
瞬間移動のSF映画かドラえもんの「どこでもドア」であろう。
このコンテンツを充実させたら、旅行業者はどうするのか?
わざわざ危険な「旅」をして赴くより、こちらを選ぶひとも少なくないだろう。

コストも、スマフォで開発されたセンサー技術の組み合わせで実現できるため、かなり安く仕立て上がる。
確かにスマフォから随分生活形態も変わってきた。
誰もが充分に滑走路を滑ってきた。
後は、揃って離陸か!
ヘッドセットの価格もアマゾンで見ると一頃よりお手頃になっているではないか。
これは一般に広まる。
皆がヘッドセットを付けて、各々の世界で好き勝手な身振りをする光景が当たり前となる日も遠くはない、、、。


リアルとは何か、今後「感覚の技術」によって、定義がズレてゆく事が感じられる。
その認識と世界観は、絵画の制作にも他の芸術にも影響を少なからず落とすはず。


その番組で、隣に司会者の相棒がいることを知っていてもなお、あれだけ怖がることが出来るというのも、その感覚技術と言うより視覚技術の高度化とともに、視覚優位(視覚依存)の人間の有様を強く認識するものであった。






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