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ブライト・スター いちばん美しい恋の詩

Bright Star

Bright Star
2009年イギリス
ジェーン・カンピオン監督・脚本

ファニー・ブローン、、、アビー・コーニッシュ
ジョン・キーツ、、、ベン・ウィショー
チャールズ・ブラウン、、、ポール・シュナイダー

前から観たかった映画。

「その名を水に書かれし者ここに眠る」"Here lies one whose name was writ in water"
この墓碑銘の詩人ジョン・キーツとファニー・ブローンの悲恋物語を描いたもの。
(すでにこの墓碑銘だけで、涙が出るほど感動していたため準備は万端で観た)。

それにしても25歳で夭折している。トラークルが27歳、ノヴァーリスが28歳だし優れた詩人は何と短命なのか、、、。
おおそうだ、レイモン・ラディゲは20歳であった。もう数学者の才能の寿命と同じではないか!
成り行きの決闘に倒れた天才数学者、ガロアが確か19歳だったはず。
ちなみにわたしは、この歳では物心すらついていない。(この歳で死んだなら人にすらなっていなかった)。


絵が美しい。
音楽も見事に絡む。
フェルメールの絵を随所に見る。
彼らの関係は、「真珠の耳飾りの少女」と画家フェルメールにも似ている。
ファニー・ブローン:とジョン・キーツの出会い頃からの話しだ。
と言ってもこれはジョン・キーツの伝記映画ではない。
あくまでも、ブライト・スター、ファニー・ブローンの物語である。

「ブライトスター。その誠実なきらめきは、夜空に高く、孤独を知らぬ。」


実際、ワイト島へ船出をし、島で大いに詩の霊感が迸り、処女作「キーツの詩集」を発表。
世間の評価などはともかく、これで詩人デビューを果たす。
スコットランド、ヘイスティングでイザベラ・ジョーンズ(人妻)と恋に落ち彼の「エンディミオン」を完成。
その後、かなり乗りに乗り、ブリテン島のベン・ヴィス山に登頂する。
さらにインスピレーションを高めたところで、、、
ファニー・ブローンに出逢う。
この映画はこの時期から始まる。
と、思った。
がしかし、ファニー・ブローンに出逢ってから彼はワイト島へ出向く。
そこから、手紙を送り彼女はその内容に一喜一憂しつつ蝶に囲まれ過ごす。
人妻の出る幕はなく、当然スコットランド、ヘイスティングもなく、山にも登らない。
ここは、ファニー・ブローンとジョン・キーツに純粋に絞り「平凡な50年を生きるより、夏の3日を生きる蝶の恍惚」を濃密に壮絶に描き切る、ジェーン・カンピオンの世界である。


「ピアノレッスン」にシチュエーションの似たところも少なくなかった。
向こうのほうが荒涼としてはいたが。
また、セリフがほとんど詩なのでもう堪らない。
絵と詩と音楽が究極の絡みを見せた時の美の強度は他に類を見ない。
やはりフェルメールの絵を観る感動に近いものだ。

「詩で魂は癒され、勇気づけられ、謎を受け容れることになる。」
ファニーに対し詩とは何かを教えるキーツの初っ端のことばがこれだ。
「湖に飛び込むが、向こう岸に泳ぎ着くためではなく、思考を超えた感覚を味わうために飛び込むのだ。」
わたしもファニーの隣で是非とも話を聴きたい。
こういう場所にずっと浸りたい。
そう想った。

また、いつもキーツと共にいるチャールズ・ブラウンと共同で詩の構成作業を進める様は、スティーブ・ジョブスとビル・アトキンソンの斬新なプログラム制作の現場を連想する稠密な時間が窺える。
それにしても、こんな風に作成されるのか、あの長編詩が、、、。(いや、作品は何だろう、、、「レイミア」あたりか?いやもっと以前のものか、、、。)
意外だ。

その後の「パビリオン」いや「ハイピリオンの没落」
肺病。
「秋に寄せて」、「ギリシャの古壷のオード」といくはず。
世間の評価はまずまずか。
専門家、詩人からの評価は高くなる。
肺病の悪化。
もうどうにもならなくなってゆく、、、。

劇中に「毒人参を飲んだように、けだるい痺れが感覚を鈍らす」という一節が詠まれていたが、映画のコンテクストを離れて自分の現状に接続してしばし夢想を膨らめてしまうところがいくつかあった。
また、後半は観ていられなくなり、何度かDVDを止めてしまった。
わたしのほうが体力的にもたなくなるのだ。


身体が衰弱しても神経を病んでも、言葉の強度はいや増しに増す。

一番印象的であったのは、恋人同士で詩を交互に詠い合うところだ。
ここまで濃密で創造的な関係は、確かに一生涯かけても生まれないかも知れない。


ファニー・ブローンが素晴らしかった。
まさにミューズであった。
アビー・コーニッシュ、初めて知った。
素敵な女優だ!


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