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シンプルメン

simple.jpg

SIMPLE MEN
1992年
アメリカ・イギリス・イタリア制作
ハル・ハートリー監督・脚本


ロバート・バーク   兄ビル
ウィリアム・セイジ  弟デニス
カレン・サイラス   ホテル主人ケイト
エリナ・レーヴェンソン  彼らの父の愛人エリナ

シンプルなギターサウンドが、淡々とした雰囲気に瑞々しさを加えていた。
この監督の画面は相変わらず、平面的な感じである。
何というか、余計な思い込みや心情とか、思想の入り込まないようにしているように思える。
他に考えたら、ゴダールがそうではないか、、、。

兄は、友人と彼女と組み、コンピュータの窃盗に成功したが、友人と彼女に裏切られ持ち逃げされている。
稼ぎはともかく、彼女に振られたことにダメージを食らっている。
弟は、どこかの大学の哲学科の学生で、物静かで実直な人である。

このふたりの兄弟が父を探しに旅に出る。
父親は伝説的な名野球選手であったが、いまは過激思想の革命家である。
(しかし見た範囲では、革命家気取りに酔っているだけである)。
一般には、爆弾テロ犯として手配されている。
収監されたニュースが入ったので子供たちが面会に出向くと、、、
すでに刑務所を脱獄して逃走中であった。

逃げるのが愉しいから逃げていると本人は謂う。
実際爆破も殺人もしていないらしい。
確かにそんな感じだ。
微妙な立ち位置だ。逃げ回っていないと安定しないような。

「この世はトラブルと欲望だ。」(兄ビル)
まあ分かる。と言うかそんなもんだ。

貰ったポンコツバイクを直してオヤジに会いに行く。
それが、トラブルの幕開けか?
そして、電話番号で割り出した場所付近のホテル(バー)で出逢った女主人と兄が恋に落ちる。
まさに、バイクで足が付き、恋が元で逮捕となる。
彼の言っていたことに嘘はない。
特に何もしていない弟も逮捕だ。

彼ら兄弟にしても、母を訪ねて、、、みたいに思い詰めて父のところにやっとたどり着いたというものではなく、成り行きで何となく来てしまったという感じである。
どちらかといえば、その土地で出逢った女性との関係に重きが置かれる。
オヤジのことなど、なんでここにいるのか考えたときに思い出すレベルであった。
ルーマニアから来た、何とも言い難いてんかん持ちのうら若い女性が、父親の恋人と分かったとき、デニスは諦観に初めて浸ったであろうか、、、そんな様子であった。(娘の年齢よりも若い歳である)。
父息子関係という幻想。女性に対する幻想が根底から揺らぎ、逮捕された方が落ち着く感じか、、、。
また、逮捕に来た警官が、妻―女性に対する幻滅で打ちひしがれて、他のことはどうでもよいという状況の人である。

ここに、前向きで元気ハツラツの人はいない。
しかし、エリナとケイトの女性陣は、信じる何者を受け容れるキャパを持っている。


わたしがもっとも印象的だったのは、そのルーマニア出身のエリナのダンスである。
これは、かなりきた。
酒場で何やら自棄酒モードで始まるダンスである。
「パリの恋人」でのヘップバーンのダンスほどアーティスティックではなが、アクの強さでは引けを取らない。
しかも、後ろでデニスと、父親を匿うタラという船の持ち主の男が動きをを真似て一緒に踊るのが何ともユーモラスで惹きつける。

ともかく癖と味のある登場人物ばかりである。

終盤に兄から出る言葉、「すべての人間的行為は搾取関係だ。」
これには、まったく同感だ。
「依存による搾取」を強調していたところが、よい。


最後の父と息子の対面は面白い。

デニスにとっては、初めての父との対面であった。
ビルとは屹立し睨み合うだけの一時。
和解など永遠にありえないことが分かる出会いと別れである。


過剰な思い込みもなく、平坦で深みがない良い映画である。


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GOMA28

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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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