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山の音

yama.jpg

成瀬巳喜男監督
1954年
川端康成の本を原作としているとのこと。
読んでない。

どこが「山の音」なのか?
分からなかった!

自然―生命と死の視座はなく。
超脱した精神の場も見えない。
ただの人間ドラマである。
お昼のホームドラマの方が断然面白かろう。

一見、小津作品の絵に似た部分もあるが、あそこにある余白や間、ドラマを垂直に超脱した光景は微塵もない。
これが決定的違いであり、致命的であるところだ。
似て非なるものとは、このことか。
鎌倉、駅やバス停、高徳院とか、、、当時の風景に風俗史的興味は感じるが、それを目的にしたものならNHKが作ればよい。
余りに贅沢なキャストだ。

小津作品には「山の音」が常に響いている。
背景輻射の如く。
そういえば、「童子のお面」が登場するシーンがある。
しかし、そのオブジェ効果も薄い。
今ひとつ物質的―呪術的な迫り方は、この物語の次元では期待できなかった。

老境に達した夫婦。
息子夫婦の不仲。息子の浮気に対する、主人公である義父の義理の娘への感情移入。
ふたりの間には次第に恋愛感情が染み渡ってゆく。
娘も子連れで出戻り、親子ともに卑屈な影を撒き散らす。
重苦しい雰囲気の中で蒸し返されてゆく親子史における齟齬。
義理の娘―嫁(原節子)の暗い表情と受動的な反抗―堕胎。
その中で、お互いを労わり思いやる義父と義理の娘。
最後その娘は、離婚を決意するが、義父はその選択を悔悟の念をもって快く認める。
そこまでの心情が切々と描かれる。

描かれて面白いか?
そういう映画であった。

吉村公三郎監督の「安城家の舞踏会」の原節子をやたらと見たくなる映画であった。
あそこでの原節子は水を得た魚である。
気持ちの良い腐った果実の甘い匂いの満ちた名作であった。
「そうだ、口直しに見るか!」(笠智衆の口調で(笑、、、安城家に笠智衆はいないが)。
原節子の魅力で言えば、圧倒的に「安城家の舞踏会」である。
次いで、笠智衆とのコンビでの聖母姿。
正直、それ以外の原節子は、どうもキャラとしても相貌も面白味がない。
という、余計なことを知ってしまった感がある。
残念な認識であるか。
知らないで済ました方が良いことも、世の中多いものだ。

夫の浮気はさっさと知って、手を打ったほうが良い。
この映画から得た感想である。


恐らく、原作はかなり異なるはずである。

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