PICKUP
ザ・ミスト
末期の目
美しき冒険旅行
レヴェナント: 蘇えりし者
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
シャイン
トイレのピエタ
カッシーニ グランドフィナーレ
ゴッド ファーザー
それでも恋するバルセロナ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
魔術師
ブラック・スワン Black Swan
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
LUCY ルーシー
ミツバチのささやき
娘ふたりと女子美へ☆彡
父 パードレ・パドローネ
写真についてーⅡ
去年マリエンバートで
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

エル・トポ


El TopoEl Topo

1970年メキシコ映画
アレハンドロ・ホドロフスキー監督・脚本

最高のシュルレアリスム映像であった。
エル・トポとは、モグラのことだそうだ。
ここでも手足のない役者や小人の役者が重要な役を演じる。
行者や聖人、仙人、ゴロツキ、悪党、小市民、悪女、子供、うさぎ、人殺し、、、などが次々に血の中に沈んで逝く。
善悪美醜の彼方の鮮烈な地平を、モグラが横断する。

全体が5つのパートに分かれる。
ちょっと変わった西部劇のような始まりから、宗教劇と言うより壮大な黙示録映画へと展開してゆく。
その流れは尋常なものではない。(しかしよく知っている話でもある)。


プロローグ
穴から出たモグラがどうなるかのエピソードが軽く語られる。

何故か裸の子供と一緒に馬に乗る黒服の流れ者が、ならず者を退治する。
その裸の子供が用を足し、念入りに砂をかけるところが印象的。
最後の一人に、残りのならず者の人数と居場所を聞き出し、その場所へと向かう。

砂漠にあってその男の子は何故裸なのかが分からない。
太陽光で肌が痛まないのか?
黒い服の男エル・トポはめっぽう腕の立つガンマンである。

創世記
エル・トポは子供とともに悪党のボス(少佐)を始め悪党全員を撃退し、教会を取り戻し人々を解放する。
しかしボスに捉えられていた女が同行を強硬に求め、彼エル・トポは自分の息子を神父に任せ、その女を連れて2人で旅に出て行ってしまう。
男の子は、神父の服を着せられ、呆然と父親?を眺める。

更に、女はエル・トポに4人のマスターガンマン殺しを悲願する。一番じゃなければわたしダメなの、と言い出す。
彼はまたもや、女の言う事を聞く。

1人目は、盲目の行者。
腕のない男と足のない男を従者にしている。
行者は、被弾しても全ての弾丸をダメージなく貫通させる秘術を心得ている。
恐らく経絡秘孔を熟知している賢者なのだ。(ケンシロウでなければ闘えまい!)
つまり、エル・トポは、例え早撃ちに勝ったとしても必ず殺られてしまう事になる。
しかも彼が言うには、「死は存在しないため、躊躇わず撃ち殺す。」
そこで、いつ掘ったかは定かでないが、落とし穴に行者を落として撃ち殺してしまう。
2人の従者も女と協力して殺し、一人目あっさりクリア。

すぐに第二のマスターを知ると言う女が彼のところに案内すると、やって来る。
そのマスターの言うところでは、自己喪失を極め、繊細この上ない手作業を完璧に熟し、必要な部分のみを壊すことが出来る。
兎も角、手指の巧緻性が極めて高い賢者なのだ。
早撃ちも無類の速さである。しかし自己喪失を極めるというのは面白い言い方だ。
つまりフラジャイルさを極めている。
エル・トポは、彼を観察して、何故か彼が依存している母親を攻めればそれに動揺して勝てると割り出し、それを実行して背後から撃ち殺す。
二人目クリア。エル・トポ賢い。

預言者たち
女同士の闘い。
嫉妬だろうか?あの女がムチを振るうが、後から来た女の方が腕が立ち、逆にムチ傷だらけにされてしまう。
だが、そこから二人は妙な仲良しになり、エル・トポの方が疎外されるようになる。

三人目の行者は、音楽を好み、うさぎを沢山飼っている。
音楽をともに奏でれば心は通じ合えるもの、、、二人は一緒に楽器を奏で心を通じ合う。
行者は相手の心を読むのが得意であった。その為弾丸は一発だけ入れている。
一発で相手の心臓を必ず撃ち抜けるのだ。
その為、完全者と詠われるという。
早撃ちでエル・トポは、やはり先に心臓を撃たれるが、金属の皿を入れておくことで銃弾を防ぎ、三人目も結局クリア。
完全者といえどもエル・トポが胸にそれを挟んでいることには気付かなかったか?
「完全すぎても失敗する。」(エルトポ)
兎も角、エル・トポの奸計の方が優っていたようだ。
調子よく殺人は遂行されてゆく。

四人目は、既にピストルを虫取り網と交換してしまった仙人である。
(この辺は覚えていた)。
どんな銃弾をお見舞いしても、その網で跳ね返すという。
恐るべき域に達したマスターである。
これでは、流石に歯が立たない。
殺せない、と思った瞬間、、、。
仙人は命すら価値を認めず、未練ももはやなく、エル・トポのピストルで自ら命を絶つ。
「きみの負けだ。」と笑って仙人は死ぬ。
決闘で相手を倒してきた彼のプライドは崩壊する。
エル・トポは大いに取り乱す。
そして銃を棄て、女にも捨てられ、二人目の女には撃たれ、最後に、神に祈りを捧げつつ、ついに倒れる。
女たちは馬にまたがって立ち去り、、、。
彼の屍は手押し車で何処かに運ばれてゆく。

詩篇
何故か目覚める。再生したの?
まさに反復。回帰してきたのか!
その姿からも随分経った後のようだ。
人相は大きく変わり果てており、化粧も入念になされていた。(時折見るド派手なキリスト像みたいだ)。
どうやら彼は地下住人のフリークス達の神として祀られて眠りについていたらしい。
自分の有様に大いに混乱するが、その姿通りの聖者として、地下世界の村人を地上に導く決心をする。
岩を懸命に掘り進めるが、いくらやっても埓が開かない。
ダイナマイトを手に入れるため、彼の世話をしてくれていた小人の女性とともに、地上界において資金稼ぎの芸をやる。
彼と彼女がどうやって外に出ていたのか?そのコースは地下住民には使えなかったのか?
ふたりの出入りの構造は読めなかった。

兎も角、トンネル開口のための資金集めのコントが繰り広げられてゆく、、、。

啓示
彼は世話焼き係りであったコントの相手役の女性と、教会で結婚式を執り行うことにする。
彼女は彼の子供を身籠もっていた。
しかし事もあろうに教会で、かつて捨てた息子と再会してしまうのだ。
息子は怒りの余り、父を殺そうとするが、父はトンネルが開通するまで待ってくれと頼む。
(『恩讐の彼方に』そのまんまの構造か!この手の話が外国に意外とあることに最近気づく)。
若い頃の父そっくりの息子は、それを受け入れるが、遅々として進まぬトンネル工事に業を煮やす。
すると父からの提案で、トリオで芸を見せ、トンネル工事も三人で行うことになる。
そしてついに開通の日、息子は「師を殺すことは出来ない」と言いその場を去ってしまう。

穴から外に出た瞬間、光にやられて光を永遠に失ってしまうモグラ、、、。

主人公の掘った穴のお陰で、地下住人たちが皆、外に喜び勇んで押し寄せた矢先、地上の人間たちに全員銃殺されてしまうのだった。
怒り狂った主人公に対しても、地上の者は情け容赦なく銃弾を浴びせ続ける。
手負いながらも彼は、銃を持つ者たち全員を射殺するが、自らも油をかぶり焼身自殺して果てる。
幻身を滅する供養・祈願であろうか。彼は僧である。

相手の女性は、子供を産む。
息子と女性と子供がまた馬に乗り旅に出てゆく。
主人公の墓は、蜂の巣と蜂蜜塗れである、、、。


粗筋書いてどうする、というところだが、余りに異様な運びなので思わず反芻せざる負えない事になった。
瞠目の映画だ。
鮮烈。

独特の特権的カルト臭プンプンの映画だが、その濃密さたるやとんでもない。
前半のウェスタンガンマンとしての戦いでは、4人のマスターガンマンを次々倒すことになる。ちょっと後のドラゴンボール調なのだが、だんだん相手の戦闘力ー数値的な力が上がってゆく訳ではない。皆、同レベルの強者であり、賢者である。
正面切った決闘は一つもなく、それぞれとのズレにうまくつけこんでゆく。
この間の感覚、そこが微妙で面白かった。
女は尽く災いのもとであったが、これは女の言いなりになる彼の責任でもある。
何故、あんなに言いなりになるのかは、謎であった。
まあ、最後にまともな女と出逢えて、子供も出来る。

これは何を意味するか?
大いなる反復である。回帰である。
この物語の初めに、馬に乗って連結してゆく、、、。


わたしにとって、精神の薬は、音楽であるが、この映画はそれに近い作用を及ぼす。
これは、敢えて必見の映画であると推したい。

関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
日々思うことを綴ってゆきます。
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ることもあります。
悪しからず。
コメント、メッセージ頂ければ嬉しいです。

*当サイトはリンクフリーです。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QR
最新トラックバック