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太秦ライムライト

yamamoto.jpg
2015年
落合賢監督
大野裕之脚本
戸田信子音楽
クリス・フライリク撮影

チャールズ・チャップリンの『ライムライト』をモチーフにして描いた作品であると、、、。
そうなのか、、、。
結構、クリント・イーストウッドの雰囲気もあった。

55年間の斬られ役の大部屋俳優の人生。
香美山、、、福本清三は兎も角、格好良い。
わたしにとって、田中泯(前衛舞踏家・評論家でもあるが)とともに、もっとも格好良い俳優のひとりだ。

福本氏のその所作の一つ一つと、そのたたずまひにシビレる。
刀の扱い、殺陣の隙ひとつない多様な流れ、もはや芸術である斬られの型(特に最後のシーンの美しさ)は言うに及ばないが。
夕食の支度で、手のひらに豆腐を乗せて包丁で賽の目に切り、味噌汁を作って独りでそっと飲んでいるところなど、、、
そうだ、わたしが初めて八王子の道場に田中泯を訪ねた時も、彼は味噌汁を一人で黙々と作っていた。(弟子はその時みんな寝そべっており、何故か全員松岡正剛の口髭を真似ていた(異、、、 )。
味噌汁が日本の文化そのものであることは確かであるが、ここでは孤独を何より雄弁に語るものに思える。
味噌汁と剣の修行の反復。
孤独以外の何者でもない。
(時流からしても)。

また香美山、、、福本の、ことばを喋りすぎない、いつも一歩手前で呑み込んで、会釈し去ってゆくところが堪らない、、、。
高倉健より不器用だ。
伊賀、、、山本に稽古をつけるときにも、一歩手前で引く。
最後に「誰かが見ていてくれますよ。」
まるで、神様は見ていてくれます、と言われているようだ、、、。
語り過ぎない。
肝心の部分は当人に埋めさせるのだ。

伊賀が惚れるのは当たり前である。


しかも、今回の映画で拾いものだったのは、その山本千尋である。
武術家で、初めての役者経験だそうだが、とても凛々しくも瑞々しい女優であった。
間違いなく女優に向いているというだけでなく、日本(撫子)を体現出来る貴重な女性でもある。
伊賀のこの凛とした姿が、熟成し充分に枯れた香美山と対等のオーラを発しており、両者の煌きで映画が成立していた。

それにしても香美山と伊賀の仄かに香る愛情に満ちた関係は、とっても微笑ましくて爽やかで羨ましい。
下手なラブコメディ(重苦しい恋愛劇も含)なんぞより、遥かに素敵な恋愛ー愛情劇でもあった。
ライムライトとは、名声の代名詞であり元々は舞台の照明(電球が普及する前の)だという。
古いライムライトに照らされたふたりの情景が残像する。
これをロマンチックと呼ばず、何といえよう?


思えば中学の明日香・奈良・京都の修学旅行で、、、何とありきたりのコースか、、、班単位で見学に行った。
ほとんど記憶にない。
現在、東映京都撮影所と松竹京都映画がここで撮っているそうだ。

殺陣にはCGが使われ剣はまるでおもちゃのようにチャチなのには、驚いた。
わたしが見に行った頃は、普通の剣の形でやっていた。
どうなのだろう?CGの方がよりリアルになるのか?丁寧な効果音も臨場感を大変高めていた。
そういえば、われわれが見に行った頃も、人を切るときはキャベツを切って音にしていたとか聞いた覚えがある。

わたしは、笠智衆といい、この人といい、歳を取るに連れてますます素敵になる田中泯といい、枯れた存在が堪らなく好きであるようだ。そうだ、本田 博太郎また良かった。ぴったりな素晴らしい役であった。


桜の花弁の舞う最後のシーンの圧倒的な様式美も、さることながら、味噌汁をひとり静かに味わう孤高の男の姿には、流石に参ったものだ。
実に、粋な日本の息づく日本映画であった。
撮影者と音楽(作曲家)の意図も明確であった。
確かなものが描かれていた。
fukumoto.jpg


山本千尋のこのデビュー作、アクションだけでなく演技も直向きで良かったが、余りにデビュー作がハマりすぎると、この先のプレッシャーが心配である。こちらにとって違う役のイメージが難しいし抵抗も感じてしまう。大丈夫か?

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