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アリスのままで Still Alice

still alice

Still Alice
2014年アメリカ映画
リチャード・グラツァー  ウォッシュ・ウエストモアランド監督

邦題もそのまま。これで良かった。


正直、これには、きた、、、。



ジュリアン・ムーア  、、、主人公アリス(言語学の大学教授)
アレック・ボールドウィン  、、、夫ジョン(医学部大学教授)
クリステン・スチュワート  、、、長女リディア(双子を出産)
ケイト・ボスワース  、、、次女アナ(舞台女優)
ハンター・パリッシュ  、、、長男トム

良き夫とよく出来た一男二女の家族構成ということである。


衰えてゆくものに対して最近極めて敏感になっている。
やたらと感情移入してしまう。
それが、、、ここでは、記憶である。
記憶である。
記憶が如何に生にとって本質であるか、、、。

言葉に届かなくなることの恐怖。
(物を置き忘れるとか、しまった所を忘れるなどはまだ序の口)。
生の基盤を根源から打ち砕く、、、
若年性アルツハイマー。
それは、ヒタヒタと進行する。
「癌の方がよかった、、、。」
重い言葉だ。
宙を掻き毟るように、「ことば」を求めても、虚しさしかそこにない絶望。

それでも生きてゆかなければならない。
しかし、記憶なしに生きることが可能か?
「喪失は災いではない。失くす業の習得は容易い。」とは誰が言ったか?

物をなくし
名前をなくし
約束をなくし
睡眠をなくし
ことばをなくし
理解をなくし

この映画で、記憶を失って生きる者の絶望を実感させられた。
ヒトが人生、、、と語り始めるとき、記憶の集積がそれであろう。誰にとっても。

アルツハイマーが50歳になったばかりで発症したなら、そして子供にも50%遺伝する、となると。
まだ、なくす事を悲しめるうちはよいが、なくしたことすら気づかなくなるとき。
自覚がない。
それでもアリスはアリスのままなのか、、、?
宙吊りのまま、まだ生きながらえてゆく。
その当人とは、何者なのか?

ヒトは恐らく自分が何者でもないことに耐えられるとは、想えない。
アリスはそれを見越し、毎日見る決まりにしている自分宛のマックブックのヴィデオに、「薬」の場所とそれを全て飲み干しベッドに横になる指令を録画しておく。その時になったらもう何も判断は出来ないから、指令である。


最近、海馬に蓄えられた記憶がより大容量の大脳皮質に分散貯蔵されているという研究結果を聴いた。
細胞の働きが細かく解明されている昨今。「場所」や「時間」の細胞について度々目にはしてきたものだ。
パソコン端末のHDから外部大容量ストレージにデータを移して管理するのと変わらない。
実にイメージし易いものだ。
それは神経新生に密接に関係しており、新生が活発なときには記憶移動も速やかに成されていくという。
睡眠時に密かに転送が行われているらしい。(睡眠の意味が少しずつ解けてゆく)。
神経の生成が抑制されると、記憶もいつまでも海馬に留まるしかなくなり、新たなことが覚えにくくなってくる。
生成の促進には運動が大変効果的であるという。
(わたしも珍しくウォーキングなどに出てしまった(笑)。

アリスもジョギングを必死にやっていたが、アルツハイマーの進行に対しては効果はなかった。
気休めにもならなかったようだ。かえって道を忘れたら危険である。
やがて家のトイレの場所も忘れてしまう、、、。

しかし、記憶の操作においては、アクティブとなる神経への働きかけにより、実際に可能となっているそうだ。
医療面で考えられているのは、、、
PTSDの原因であるトラウマとなっている記憶神経と関連付けられてしまった事象の記憶神経の結びつきを解けば、それから解放されるというのも。実際にマウスレベルでは、神経の切り離しが成功しているという。
(例えば、雑踏や乗り物を見るとパニックになってしまうサリン事件被害者などに有効であろうとのこと)。

それをマウスで試すのと同様にオプティカル・ジェネティクスで確認は出来ないため、磁場を使って記憶場の発動のon/offを行うという、、、まるでB級SF映画のお手軽さである。
そんな単純な問題かどうかはともかくとして、記憶が度を越して減衰したり、特殊な絡みつき(ペアリング)が解けなくなるなどの「記憶の障害」が起きると(これは多様性・単なる差異の問題で片付かない)、生活は間違いなく地獄と化すことが分かる。
悲痛な病の存在である。
それは、確かに、ある。
「多様な生」、「実験としての生」として、勿論認めるべき生の一つであることは言うまでもない。
支援団体などから、支援の対象とされるだろう。
だが、その当人にとって(家族にとっても)認めがたい生であることも、当然ある。


斯く言う私もしょっちゅう記憶は飛ぶ。
他人事ではない。

ジュリアン・ムーアの大学で活き活きと講義している姿からの推移の演技が圧倒的であった。
見守る家族にも胸が痛くなった。
最後は自分の娘の真剣に語る話も理解できない。
衰え困惑するアリスと悲痛に歪むアナの表情にすべてが収束する。

「、、、それは愛の話ね?」
「そう、ね、、、愛の話だわ。」
(誰よりも一番理解してもらいたい存在に、無残にもその力がまったく残っていない事実を突きつけられる)。
誰よりも優秀であった母のその有様を改めて確認する娘の無念さ孤独さに、同調しない訳にはいかなかった、、、。


これも「静かなるアリス」という小説を原作としているそうだ。
原作を読む気はない。
単に、読書時間が取れないからだ。
わたしの苦悩である。




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