ピエロがお前を嘲笑う

”Who Am I - No System Is Safe”
2014年ドイツ映画
バラン・ボー・オダー監督、脚本
トム・シリング 、、、ベンヤミン
エリアス・ムバレク 。。。。マックス
ヴォータン・ヴィルケ・メーリング 、、、、シュテファン
アントニオ・モノー・Jr 、、、、ポール
ハンナー・ヘルツシュプルンク 、、、、マリ
今は誰もが張り巡らされたネット上に、ひっかかって生活している。
身近でもあり、、、彼女になかなか上手く言い寄れなかったり、ポルシェに乗ってご満悦とか、乱痴気パーティーに出てちょっとでかくなった気分に浸ってみたり、、潜在能力を解き放って、これかよ?機械語とハッキング技術以外はかなりお寒いサイバーテロ集団(いや主人公)であるが、まだ皆若い。
ハッカーの主人公ベンヤミン 、、、トム・シリング
こりゃ、凄い役者だ!オタク臭さが半端ではない。(わざとらしいメガネのオタクはよく見るが、レベルが異なる)。
他のキャストもずっしり存在感があった。
連邦情報局の捜査官トリーネ・ディアホルムの凛としたストイックさはまるで、メリル・ストリープだ。
ベンヤミンをほとんど相手にしない彼女マリーも、かなりの曲者で掴みどころがない。
役作りが皆、重厚である。
確かに感覚的には「メメント」に近い。
だが、存在学的には随分違う。
彼らは基本、”WHOAMI”の透明人間であろうとしている。
所詮、どう見られるかは、それぞれの見る者次第なのだし。
こればかりは、いきがってみても、どうにもならない。
実績を積むだけか。
どれだけデカイハッキングをするか。
そこに存在意義を見出すしかない。
結局、身の丈を心得ない大仕事をしてしまったせいで、ハッキング界の大物MrXやロシアサイバーマフィアFR13ENDSを巻き込み死者まで出して、命を狙われる羽目になる。
また、その過程で捜査官に対し、断片的で強烈なフラッシュを残し、それが自白内容とずれるようにしておく。
「アイデンティティ」でも充分に示されたあの「解離性同一性障害」をまんまと利用してしまう。
母親の自殺に至る病状などもそれとなく知らせておく、伏線が巧妙である。
捜査官は、わたしは心理学者じゃないのよ、と言って乗せられないようにしていたのに、やられてしまった。
解離性同一性障害なんていう病には、人はとりわけ魅了されるものだ。
ベンヤミンが何度も繰り返す。
「ヒトは自分の見たいものを見る。」
また更に、自分の知っているものしか見えない。
当たり前である。
事象のうちから言語により分節化してそれとして見えるのである以上、持っている言葉を超える世界など知覚不能である。
彼らが作ったチームCLAYもネット上の最もクールな存在である、アノニマスを意識していることが分かるが、それ自体もまんまと否定してもらえる。
かなり紆余曲折したが、
絶妙の思考誘導だ。
「ハッキングはトリックさ!」
やはり角砂糖は、一個に見えて4つあった。
昨日見た映画「HERO]でもそうだが自白・自供・告白などの騙りは、受け取る側の言語センスとイメージ力が肝心であろう。
昨日の始皇帝の劇画的なダイナミックでトリッキーなイメージもスゴイが今日の女性捜査官も同様に唯一のわれわれの知覚の窓である。
結局、証人保護プログラムも獲りつけて、再び”WHOAMI”仲間と無罪放免の生活か、、、。
海上の船の光景は、何とも清々しい。
やはり、チームはしっかりあったのね(笑
これって、ハッピーエンドではないか。
しかも皆にとって、である。
(女性捜査官もニンマリしていた)。
この手の映画の中では、出色の出来であった。
音楽も内容にぴったり合った、ドイツの音であった。
昨日も今日もそうであったが、医者と畑仕事で映画だけはかろうじて見るには見たが、感想まで書く時間が無かった。
いつか、まとめなおす時間をとりたい。
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