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風林火山

fuurinnkazan.jpg

1969年
稲垣浩監督

井上靖原作

実は、西部劇か昔のアメリカ映画を観ようと探していたら、これがあったので。
上杉対武田のドラマ・映画は以前何となく見てはいたが、「風林火山」は、初めて見る。
恐らくそうだ。
(どちらかというと上杉側から見たものや川中島にフォーカスしたものが多いように思えたが)。


「風林火山」
佐久間良子演じる由布姫が異様に良かった。
役柄上も一番、惹きつけられる。
この時代の「女性」ではなく「女」としての困難と業に身を窶す姿が鮮明に描かれていた。
共同体の利益のために利用・交換される女の運命が浮き彫りである。
そこにかなり当時としては突出した個の意識を持った女性である由布姫。
あえて敵の子を産むことで運命への復讐を誓う。
自然に彼女のこころに寄り添い見てゆきたくなる映画である。
その鋭く艶やかな無常観を湛えた存在感は、生死をかけた戦いに暮れる武将の琴線に強く触れること間違いない。

「武士」という少数エリートとして生きる男も大変である。
三船敏郎演じる、山本勘助の野望と由布姫への思慕の情との板挟み状態で苦闘する姿には、とても共感できた。
勘助は常に大きな理想を掲げて非情な路を突き進む人間として描かれている。
美や愛に対しての葛藤も当然尋常なものではなかったはず。
しかしこれほどドラマチックでなくとも、ヒトは引き裂かれながら生きるものである。
この存在形式は普遍だ。
その引き裂かれながら耐え続けることがそのまま生の戦いでもあろう。
斬り合いそのものよりハードかも知れない。

主人公が重厚な存在感をもつ三船であることは、やはり大きかった。
佐久間と三船が一際強いオーラを放ち、長い尺が滞らずにしっかり流れたと思われる。
キャストは大事である。

他にも豪華キャスト陣が達者な演技を魅せていた。
そのなかでは中村 嘉葎雄の板垣信里は魅力的であった。
父が討ち死にしてからの、それまで隠してきた洞察力と認識を遺憾無く放射し高い志を感じさせる凛とした姿は美しかった。
中村勘九郎の武田勝頼の無邪気な演技には微笑ましいものがあったのだが。
殊の他ポッチャリしており、快獣ブースカみたいだった。
由布姫の息子にはちょっと見えない。
実はこの映画で一番びっくりしたところだ。
(中村勘九郎氏はその後、良い歳のとり方をしたのだろう)。
緒形拳の槍持も面白い役どころであった。
その規範をはみ出た自由な気質は、結構由布姫と同等のものであったように思われる。

中村錦之助の武田信玄には、終始違和感があった。
連戦連勝の知将にしては、そこらのゴロツキのような匂いが漂う。
山本との関わりの中で、さして成長する感じでもない。
以前、映画かTVドラマか忘れたが、中尾彬が信玄入道をやっていたが、こっちの方がすっきり入る。
一癖も二癖もある人物像の仕上がりがそれらしく思えた。
もしかしたら、先入観として今回見るのを邪魔していたか?


終盤、由布姫が勘助に、もうそなたと話すことはこれが最後でしょう、と語る場面が特に印象に残るものであった。
結核にでも冒されていたものか?
すぐさま彼は、そのときはこの私めもお供いたします、と語る。
傍目に見れば、忠臣としての礼儀を返すように見えて、精一杯の自身の心情を訴えていることが分かる。
勿論、由布姫も充分に分かっている。
今生においては、ふたりの距離は絶対であるため、こころの繋がりは濃度をいや増しに増す。

現在はどうであろう。
見かけは、全てが自由に映る。
しかし関係性は、硬化し不可能性を増すばかりだ。
(勿論、われわれの意に沿わない(気づかない)関係性が何重にも瞬く間に張り巡らされてゆく)。
ディスコミュニケーションの閉塞性と弊害は生半可なものではない。

更に強い彼の野望を支えていた、勢力ー権力によって平和を勝ち得ることは、すでに不可能であることが晒されている。
しかしその意思は変わらず活き継がれており、場所を弁えず虚しく爆発しつづけている状況だ。
ここで描かれる山本勘助が考える勢力争いは、あからさまなものに限らずスケールを変え質を変えあらゆるものー場所に潜在している。
今はその不可視な部分がより恐ろしい。
向こうの海まで武田の勢力が伸びれば日本は安泰だ、って余りに安易で安直すぎるが、何故か清々しくもある。
勝頼の元服姿は、家臣のサービスで模擬のその姿を脳裏に焼き付けることはできただろうが、上杉謙信の首をとること、天下をとることは、叶わなかった。
大きな夢というよりも誤算である。

また、山本勘助自体の設定にかなりの無理があり、よくここまでなんとかまとめたと思う。
(やはり主役は上杉謙信か武田信玄で行ったほうが、しっくりくる)。
上杉謙信がセリフのない石原裕次郎であった。


明日は、アメリカの古い映画を探して観たい。
「怒りの葡萄」とか、、、。



昨日は病院と娘の世話で何もできなかったが、何と今月末は3日続きで病院である。
更新がかなり途絶えるか、映画感想でないものを載せることになるはず。
(最近はそれが多い)。

どうも、映画を見る気にならなくなったことも大きい。
小津映画でも、笠智衆と原節子が一緒にフルに出てこないと、余り観る気がしない。
小津以外で日本映画に面白いと感じたものはさしてない。(これまでに観た範囲であるが)。確かに「三丁目の夕日」、「寄生獣」には感動したものだが。
そうだった、岩井俊二監督のものは、観る。「ラブレター」と「リリーシュシュ、、」は好きだ。何より音楽が良い。
宮崎あおい主演のものは何でも良い。彼女の魔力で全て良くなる。(これは忘れてはいけなかった)。

リドリー・スコットのものは、全て観る気にはなるが、あの重厚な光線のせいかも知れない。
全面的に身体が受け付けるのは、タルコフスキーとベルイマンとテオ・アンゲロプス、、、あたりか。
全ての作品が文句なしだ。
それからゴダールやレオス・カラックス、ティム・バートンなどは、観ないわけにはいかない。
キャストの魅力(凄さ)からオードリー・ヘプバーン、ピーター・オトゥール、ジュディーフォスター、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、モーガン・フリーマン、アンジェリーナ・ジョリー、ラッセル・クロウ、ジョニー・デップ、デンゼル・ワシントン、、、あたりが出るものは、まず見る。(あまりにメジャーすぎか?渡辺謙と染谷将太、二階堂ふみ、小松菜奈も気になる)。
彼らが出るものは、ほとんどのものが良いと思える。

確かに、監督、キャストではなく作品単位で好きな映画はある。
「階級関係」、「パリ・テキサス」、「ディーバ」、「初恋のきた道」、「北京バイオリン」、「メランコリア」、「ピアノレッスン」、「ダウンバイロウ」、「第九地区」、「月に憑かれた男」、「ミスト」、「インター・ステラー」、「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」、「ベルリン・天使の詩」、「暗殺の森」、「パシフィック・リム」、「ベイマックス」、「美しき冒険旅行」、「パンズ・ラビリンス」、、、これ挙げ始めるとキリがないことが分かってきた。
でもこの辺のことも改めて備忘録風にやってみようと思う。


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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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