風は冷たい

2階のベランダに椅子を出して読書を試みる。
窓越しに日光の様子を怪しい影の揺らめきのうちにサボテンとともに見ていたら、そこに溶け込みたい衝動に駆られた。
勿論、サボテンもわたしも、である。
肌に確かに光の圧がかかる。
かなりの照度と温度である。
そこに時折吹き抜ける風は殊の他冷たい。
最初は、良い刺激でもあったが、すぐに許容出来る刺激のレベルではなくなる。
最近、映画も見れないが読書もいっこうにスイッチが入らないのだ。
心地よいめくるめく刺激が欲しかったのだが、、、。
暑い陽射しのなかを凍った風が突き抜けた。
自動的に堪らず部屋に逃げ込んだ。
僅か15分しかもたなかった。
トホホである。
さすがに外に居続けるのはまだまだ酷である。
もこもこダウンコートを着込んで本を読む気はない。
読書は、軽装でないとダメだ。
そうでなくては、文字が身体に染み込まない。
その直後、アマゾンで昨日注文した、「RCCホーネット(2004)」が届いた。
久しぶりにプラモデルを作りたくなったのだ。
われを忘れて機械的にものを組み立てる恍惚に浸りたい。
創造ではなく、作業である。
勿論、それが目的ではない。
出来上がったものが欲しい、それだけの為に作る。
しかしただ手を動かす。
ほぼ目と手が同期する。
というか従属関係が薄れる。迷いがない。
しかも、出来上がるものが、光覚的というより触覚的にカッコ良い。
少年期的充足感を満たす時間が来た。
(恐らくわたしにとって旅行などでは、味わえないものである。気晴らし、静養とは本質的に異なる)。

と同時に、この激速ラジコンカー(RS540モーター)で、やはり外に出たいのだ。
これは、多少ジャケットは着込んでも、道路や公園の広場で走らせたい。
娘たちも、古いラジコンカーを物置から出してきて、家の中で腕を磨いている。
今度、公園で思いっきり醍醐味を教えてあげようと思う。
そもそも、わたしがラジコンカーが欲しくなったのは、娘達が家で遊んでいる姿に触発されてのことだ。
多分。
徐々に外に気持ちが向かっているところに、調度これがピッタっと嵌ってきた。
光と外界に対する憧れが蘇えってくる物質的というより身体的触媒だ。
まだまだ風は冷たいが、外に出たい!