寄生獣 完結編

前後編でひとつの作品であり、かなりの大作である。
わたしもかつて読んだ(見た)岩明均の同名漫画を原作としている。
2015年。
山崎貴監督映画。
「リターナー」を昔作っている。
染谷将太 、、、泉新一
深津絵里 、、、田宮良子
阿部サダヲ 、、、ミギー
橋本愛 、、、村野里美
新井浩文 、、、浦上
ピエール瀧 、、、三木
山中崇 、、、辻刑事
岩井秀人 、、、草野
「チャッピー」よりこっちの方がよかった。
熱かったというべきか。
よくできていた。
パラサイトを介在させることで何より「生命」(身体性)を強く打ち出した映画となっている。
「意識」ではない。
「生命」である。
ここが、「チャッピー」と明確に異なるところであり、わたしはこちらをとる!
「前作」でこの続編を大いに期待させたが、予想以上の出来であった。
キャストがまたよい。
染谷将太と深津絵里の圧倒的な存在感。この2人プラスミギーの3人が主役と言えよう。
特に深津演じる理知的パラサイトには揺り動かされた。
生命と母性は切り離せない。
愛情の静かな発現の場がとても美しく愛おしかった。

パフォーマンスキャプチャーでミギーになりきる阿部サダヲ、恋人の橋本愛、さらに最強の敵を演じる浅野忠信。
北村一輝の演説姿も良かった。彼が人間だったことには、驚いた。
東出昌大の不気味でタフな作り笑顔もやみつきになる魅力があった。
余貴美子や 大森南朋、國村隼など、実に燻し銀の芸達者で厚い布陣を敷いたものだ。
脚本も丁寧に練られたもので、人とパラサイトの間の複雑な関係性を説得力あるものに描いている。
尋常でないディテールに至るまで伏線を張っていることで、その厚みは素晴らしい。
浅野忠信の最凶パラサイトがピアノで奏でる「亡き女王のパヴァーヌ」も、強靭な線で最期の決戦にまで流れ込む。
人間もパラサイトにおいても、個別性はやはり存在の数だけあるという事実もしっかり押さえられている。
よくある一枚岩の侵入者というものではない。
であるため、自分たちの組織化と人類との共存に、高い知性を持つ深津パラサイトも苦慮する事となった。
演出もVFXが多用されている事を忘れさせる見事なリアリティを現出させている。
かなり奇怪でグロテスクな形や動きがあっても、文脈の中では自然な緊張を保ち、それが浮く場面など全くなかった。
テンポの良さは申し分ない。
実際、ミギーの、他のキャストとの距離感の掴みかたはかなり難しいものであったはずだ。
彼の視座は、右手にある。
阿部サダヲは顔を見せない主役を器用に、こなしていた。
流石と言う他はない。

橋本愛とは染谷は、「告白」でも特異な共演を果たしていた。
ここでも「生命」を基調に流す、若い男女の関係を妥協なく表している。
2人の変化と結びつきも、ミギーに深津パラサイトとの関係もその流れは繊細で濃い。
題材は特殊な設定にとってはいるが(SFはそれで本質を純化しようとする)、ドキュメンタリー映画よりリアルで、まっとうなストイックさがある。
であるから、こちらも真剣に深く、入り込めた。

「われわれは、お前たち人類の子供なのだよ。だからあまりいじめるな。」
深津さん演じるパラサイトが最期に聖母マリアの如くに見える。
こんな重いメッセージを不意にくらって、どうすればよいのか?
この完結編、特に秀逸である。
原作との関係でどうのと言う前に、これほどよく出来た邦画は、そうはない。
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