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死刑台のエレベーター

Ascenseur pour léchafaud

Ascenseur pour l'échafaud
1958年フランス映画
ルイ・マル監督 ・脚本
「ビバ!マリア」「プリティ・ベビー」は面白かったという覚えがある、、、いつだったか。
わたしは、所謂巨匠の名画というのは、数える程しか観ていない。
本作は監督25歳の時のデビュー作というが、上記2作より印象深く残っている。
今回ブルーレイで改めて、「フランスらしさ」と「映画というもの」をじっくり味わえた。


ジュリアン・タベルニエ (モーリス・ロネ) フロランスの恋人。退役軍人。フロランスの夫を自殺に見せかけ殺害。しかしエレベータに閉じ込められるというドジを踏む。
フロランス・カララ (ジャンヌ・モロー) 名士の奥方で誰からも一目置かれる、独特の特権的オーラを放つ婦人。
ルイ (ジョルジュ・プージュリー ) ゴロツキ。
ベロニク (ヨリ・ベルダン ) 花屋の売り子。ゴロツキの彼女。

わたしが一番、らしさを感じたのは、初期ゴダールにもよく出てきた無軌道な「ゴロツキ」である。
(シャルロット・ゲンズブール主演の映画などにもよく出てくる)。
如何にも頭の悪そうなチンピラが、似たような娘と一緒に、盗みや殺人を反射的にやる。
殺意や罪悪感がなく、超人的というか動物以下というか、偶発的な衝動だけでうろついている凄い生物である。
しかも微生物のような根本的(律儀)な法則性すらもたない。
神経系はあるが中枢は未発達である。
この時代から、若者とは、こういうものであったか?
(当然のごとく、今でもこんなのは時折見かける珍しいものではないが)。
わたしの亡くなった父より少し上の世代である。
フランス映画の雰囲気はいつも、この辺が色濃く滲む。
(日本映画がこの空気を真似すると、途端に小汚くなる)。

勿論、いつの時代にも様々なものがいる。
欧州は異民族が国境を行き来して暮らしているし。
誰もが異星人のような存在なのか、という感覚を最初(いつだったか、、、中学生の頃?)観たときに思った。
恐らく、ゴロツキカップルにドイツ人旅行者が銃殺された時に印象が残ったのかも知れない。
実存主義とかいう次元の問題ではない。
連中には明晰さが欠如しており、理性の欠片もないからだ。
少なくとも、原生的疎外は生じていても、純粋疎外の水準は無い。
それでも今日ママンが死んで、太陽が眩しかったから、でヒトを撃つのと同価の事か?
そもそも、ここにもともと価値などない。


わたしは、どうしてこんなことに拘り始めたのか(苦笑。
この映画にとってそんなこと意味のないことだ。
すべてスタイルの問題である。
いや「方法」というべきか。

この作品、ヒトを殺害するが、その理由を強いてあげれば、その刹那邪魔であったから、とでも言える。
殺した当人に罪の意識は掠めないが、法的な罰を回避しようとする企みは打つ。
ジュリアンは、尋問に正直に答える。
確かに彼は、ドイツ人を殺してはいない。
エレベーターの中にいたことも、そっくり話す。
聞かれたことに対しては、包み隠さず答えているのだ。
だが、そちらの誤解が解けても、更なる重罪が待っている。
警察にとってこの程度の事件は、難解なものではなかった。

プロットは、精緻に精確に描かれてゆく。
ノイズや挿話的な部分も彷徨い歩くフロランスの軌跡上に配される。
車はとても魅惑的な存在であった。小型カメラも、拳銃も、コートも、手袋も。
ガジェットが魅惑的で、それを動かすディテールも程よく描かれるてゆく。

しかし中心的な核はない。
盲目の愛に溺れたふた組の男女のドラマを描いたというものではなく。
(これなら、ドイツ人カップルだって同様である)。
それは、映画を撮るために必要最低限の動機。
構造に流し込むに必要な動力に過ぎない。

語るべき何かを表現するために映画など作らない。
映画を作るべくして映画を作るだけだ。
(音楽や絵画も勿論そうだ)。
その制作方法を恐らく監督誰もが、模索し見出し研ぎ澄ましてゆく。

この映画、サスペンスとしての脚本がよく出来ている。
流れは見渡せるのだが、それで面白さが半減するということはない。
終始目は離せない。
話の流れや内容にではなく、今現在のシーンに惹きつけられる為だ。
特に写真が粋な装置として効いている。
チンピラの写真はともかく、2人の写真を撮っていたのは、余りに軽率であった。
しかし、撮ってしまうものであろう。
充分に頷ける自然な所作の産物だ。
ジュリアンとフロランスの幸せそうな笑顔が、奈落の底に落ちてゆく2人の運命を照らしている。


この映画を観て、ルキノ・ヴィスコンティの「異邦人」を観たくなった。

邦画のリメイク版があるそうだが、観る気は無い。


最近、邦画のVFXものや、ホラーをいくつか見たのだが、「パシフィックリム」「死霊のはらわた」などとは、雲泥の差がある。
中学の学芸会でやっていても、入ってみる気の起こらないレベルであった。
過去の名作以外にほとんど観るものがない。

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