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プリズナーズ

prisoners.jpg
PRISONERS 
2013年アメリカ映画
ドゥニ・ビルヌーブ監督

まさに、プリズナーズ。
みんながプリズナーズであった。
しかし、もともと誰もがプリズナーズではなかろうか?
あのエッシャーの絵のような、、、。

すごく長い時間観ていた気がする。
わたしは、病院の予約があったので、途中で再生(ブルーレイで観ていた)を止めて、外来の受付を済ませて、大急ぎで家に戻り続きを観たが、その後もかなりかかった。おかげで、何時もうんざりするほど待つ時間が、今日はなかった。
一体何時間の映画であったのか?
調べてみたら、153分だと。
今日の病院はすぐ近くなので、途中から観に帰るという芸当ができたが、もうひとつの病院は片道電車で2時間なので、アイアンマンでなければ、無理。

わたしもホントにプリズナー。

演出が抑えたトーンでヒタヒタと話が進み、急激でショッキングな展開が無い分、大変重苦しい映画であった。
しかし、緊張は途切れず、目は一時も離せない。
非常にタイトな映画だ。しまった脚本だ。
にも関わらず、長く感じたのは、通院の予約時間が気になったからであろうか。
(この話はもうよい)。


まず、間違いなく謂えることは、娘が誘拐されたとき、容疑者の些細なことばも聴き漏らさず徹底的にそれに拘り抜く父親の意思には、全面的に共感する。
一線を越えようが、どうしようがこの際、関係ない。
親であれば、当然のことだ。
この映画でもそうであるが、警察に任せておけるはず、なかろう。

しかし、この父親と大きな違いは、わたし(また多くの日本人)は、一神教(キリスト教)を支えとしない。
この映画、そこが重要なテーマと覗える。

天にまします我らの父よ。
ねがわくは御名〔みな〕をあがめさせたまえ。
御国〔みくに〕を来たらせたまえ。
みこころの天になるごとく、
地にもなさせたまえ。
我らの日用の糧〔かて〕を、今日〔きょう〕も与えたまえ。
我らに罪をおかす者を、我らがゆるすごとく、
我らの罪をもゆるしたまえ。
我らをこころみにあわせず、
悪より救いいだしたまえ。
国とちからと栄えとは、
限りなくなんじのものなればなり。
アーメン。


この主祷文が父親によって、幾度か唱えられる。(全部と部分のときがあるが)。
息子と鹿を撃つ時、自分の直感した容疑者を拷問にかける合間に。
彼は敬虔なクリスチャンであり、娘が救われるよう常に神に祈り続け、神と己を信じて果敢に行動する。
息づまっても迷いは、ない。プロテスタントの独立心というか、備えを怠らず自らの家族は責任を持って守るという精神。
この強い信念が信仰の力の賜物なのか?
少なくともこの点が、わたしの身体性には、ないところだ。
多神教ではなく、無信仰なのだ。家は一応、真言宗ではあるが、葬式(お寺)やお墓の関係であるに過ぎない。
(一時期、真言関係の本は読んだが、その知識は身体性へと繰り込まれることはなかった)。

この事件を担当する敏腕刑事は、フリーメイソンの指輪をしている。
「ルシファーの子供」つまりは異教徒とも言えようか。(至高の存在への真摯な信仰を入会条件に挙げており、キリスト教徒も当然いるが)。
明晰で論理的な行動を彼はとってゆく。
推理も鋭いが、犯人(犯行の真相)に先に辿りついたのは、娘の父であった。
キリストをのみ信じる者が真実を得ると示すかの如く。

また、犯人側の人間周辺には、悪魔の象徴である蛇がわんさと登場する。
わたしがキリスト教に詳しければ、恐らくディテールに渡って、このような象徴が鏤められていることを知るはず。
最後に明らかになる真犯人は、主人公が締め上げた男の叔母であり、かつて息子を癌で亡くした女であった。
彼女の犯行の動機は、息子を奪った理不尽を神に問い、神への復讐のためこれまで多くの子供の命を奪ってきたという。
彼女は理性で、何故わたしの息子を奪ったのか、という疑問から信仰を捨て神に刃向うのだ。
しかし主人公は、何故わたしの娘を奪うのですか、とは決して問わない。
信仰において、神の御心は原理的に人智の及ぶところではないからだ。
さらに深い信仰によって彼は、ひたすら神に救いを求める。

この映画は、ヒト同士の戦い-謎解きが、神と悪魔とのものに想えてくる。



ヒュー・ジャックマンが信心深い父親ケラー。
ジェイク・ギレンホールが鋭い刑事ロキ。
この両雄の凌ぎを削る演技は、繊細であり緊張感たっぷりであった。
ケラーがkellerであれば、文字通り「地下室」となり、あの不時の災害に備えた見事に充実した地下室そのものである。
「ノアの箱舟」を想起させるに充分だ。
ポール・ダノという役者は、面白い。娘をさらった発達障害の男を終始灰色の状態に保ち続ける絶妙な演技であった。
(実際に手をかける役は叔母であるが)。


その長さだけでなく、体質的にまた観るということは、ない映画だと思う。
勿論、問題作であり優れた映画作品であることは、確かだ。




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