パシフィック・リム

感動した!
100点満点の映画である。
よくこれほどまでの作品を作ってくれた!
ここまで嬉しくワクワクしたのは、何年ぶりだろうか?
Pacific Rim
2013年
ギレルモ・デル・トロ監督・脚本
チャーリー・ハナム 、、、ローリー・ベケット
イドリス・エルバ 、、、スタッカー・ペントコスト
菊地凛子 、、、森マコ
チャーリー・デイ 、、、ニュートン・ガイズラー博士
ロブ・カジンスキー 、、、チャック・ハンセン
マックス・マーティーニ 、、、ハーク・ハンセン
芦田愛菜 、、、森マコ(幼少期)
ロン・パールマン 、、、ハンニバル・チャウ
バーン・ゴーマン 、、、ハーマン・ゴッドリーブ博士
クリフトン・コリンズ・Jr 、、、テンドー・チョイ
ディエゴ・クラテンホフ 、、、ヤンシー・ベケット
「パンズ・ラビリンス」も申し分無かったが。
日本の怪獣へのオマージュを超えた孤高のカイジュー映画が創造された。
ギレルモ・デル・トロ監督をして出るべくして出た映画である。
円谷英二を尊敬しているとのこと。うちも親戚が彼のもと、特撮監督していたこともあり、他人とは思えない(笑。
押井守とも親交を持つらしい。
フランシスコ・デ・ゴヤの「巨人」をイメージソースにしているという。
どちらも納得。
VFXは文句なし。(水の表現がここまで出来ているのは驚異)。
「ゴジラ」(ギャレス・エドワーズ監督)もかなりの出来栄えであったが、本作はそれを凌駕する圧倒的なものである。
ニール・ブロムカンプ監督と通じる資質を感じた。
怪獣、ロボット・兵器などモンスターメカオタクであることは、言うに及ばない。
それだけに、メカのディテールの作り込みは尋常ではない。
更に動きや破壊場面も多彩で新鮮であった。
イェーガー(人型ロボット)が倒れこみビルの破壊される時の息を呑む美しさは、かの未来派画家も絶賛するに違いない。
ウンベルト・ボッチョーニに感想を聞いてみたい。

何と言っても、カイジューとイェーガーとの死闘が繰り広げられるシーンに恍惚となる。
イェーガーには、異世界と繋がる深海の割れ目に侵入しゲートを破壊することが最終任務として課せられる。
カイジューもイェーガーもニール・ブロムカンプ監督の造形に引けを取らないものであるが、カイジューの全貌と、昼間の明るい空間での戦いも観たかった。
もっと造形をじっくり堪能したくなるものだ。
ローリー・ベケット(チャーリー・ハナム)
森マコ(菊地凛子そして幼少期は芦田愛菜)
この2人で「ジプシー・デンジャー」(イェーガー)に乗り込み、益々進化し力を強めるカイジューたちに立ち向かう。
神経とマシンを接続する「ドリフト」によって2人が右脳と左脳を分担し、記憶と意識を同期させて操縦する。
操縦は、パイロットの身体運動能力がそのままの動きで反映される。
であるため、格闘技練習にも余念がない。
なお、森さんは、優秀なパイロットであると同時にイェーガーの開発者でもある。
2人ともカイジューによるトラウマを抱えている。(どちらも肉親を殺されている)。
このカイジューたちは全て、地球を略奪しようとする異星人にコントロールされて送り込まれてくる。
個々に何となく迷い込んで暴れているわけではない。

人間キャラも際立っている。
主演の2人の他に、チーム物には必ずひとりいるライバル意識丸出しで反目する優秀なパイロット。
ここでも定石通り、彼が他のイェーガーに乗り込み活躍するが、壮絶を極める戦いの中、極限状況下に主人公達と友情も芽生える。
しかし、いささかもこのパタンが古さや陳腐さを感じさせない。
森さんの命の恩人で養父でもあるスタッカー司令官(イドリス・エルバ)の演技はドラマに厚みを与えていた。
どうやら、怪獣・ロボットの造形面だけでなく、自らの身を犠牲にしても任務を遂行する日本の武士道精神も彼らは継承している。
チームのオタク博士2人が、身を危険に晒しながらも、何と殺したカイジューの脳とドリフトしてカイジューが送り込まれる現象の背景を探ったことは大きい。
この情報で異空間への侵入方法が明らかになった。
しかし、あそこまで濃いオタクキャラは初めて見た。(昔のハリウッド映画の出っ歯でメガネのカメラを提げた日本人に替わるものか?)
日本のアキバあたりでモデルとなるヒトでも見つけたのか。
念のため、菊地凛子はある意味、誰よりも迫真の演技を見せていた。
この役は彼女以外には考えられないというレヴェルであった。
相手役も、役柄ぴったりの役者である。
忘れてならないのは、ハリウッドデビューを果たした芦田愛菜の天才子役ぶりであろう。
ただ、泣いて逃げるだけで、監督絶賛であったという。(ちょっと、もったいなかった)。
わたしとしては、セリフのひとつくらいほしかったが、、、。
ハンニバル・チャウというカイジューの体を切り刻んで高値で売りさばく富豪闇商人の存在も面白い。
人類の終末がすぐ身に迫る混乱期には出てきてもおかしくないキャラと想える。
映像が非常に精緻に自然な流れで作り込まれているため、突飛な設定や存在も全てリアルに観ることができ、どのシーンにも裂け目がない。

この映画のエンドクレジットには、レイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に捧ぐ、とあった。
さぞ御二人もお慶びであろう。

ギレルモ・デル・トロ監督が「フリードリヒ」と「葛飾北斎」が大好きだということを加えておきたい。
あの夜の重厚な海の表情に、その趣向が窺える。
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