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魔術師

Max von Sydow

ANSIKTET
1958年スウェーデン映画
イングマール・ベルイマン監督・脚本

イングマール・ベルイマンの映画は、「神の沈黙」や「生と死」を基調テーマとしているが、本作でも変わらぬものである。
しかし、この作品は特にストーリー展開に重きが置かれていると見え、その「面白さ」から、一瞬も目を離せない。
そう、ひとことで言うと、ただ面白く、逆らいようのない映画の魅力にグイグイ引き込まれてゆくのだ。
「映画」とはこういうものであったか、というその原質というか本質について夢想させられるものであった。
謂わば映画というものの孕む恍惚とした艶めかしさに浸ることが出来る。
それは感覚を擽る物質性によるものだ。
(ガストン・バシュラールのいう物質的想像力に作用する)。

この映画の特筆したいところは、シーンの切り替えの絶妙さである。
それぞれのシーンのプロットと演出がどれもすこぶる印象に鮮やかで、緊張感が途切れない。
次を予見しつつ観るという遠近法によらず、生成現場に同期して目撃する距離感と言える。
恐らくこれが映画を観るという醍醐味なのだろう。
映画に疎いわたしであるが、ようやく淀川長治さんの陶酔の意味が少し分かった気がする。

相変わらず絵の美しさは驚異的だ。
モノトーンというのも大きな要素と感じられるのだが。
何故か古い映画なのに、異様にシャープで鮮明な映像にも感心する。
また、演出やカメラワークも随所に唸るところがあった。
恐らく観るたびに、それが新たに見出されるのではないかと思われる。

これだけ奥深く質の高い映画をコンスタントに生むことのできる監督も、そうはいないはず。
他に圧倒的な傑作揃いの監督に、タルコフスキーがいるが、作品数は少ない。
(もっと彼の映画を観たいと心底思う。大学卒業制作の「ローラーとバイオリン」も見事な作品であった)。
惜しまれることに、亡命や病などの苦境により、亡くなるのが早すぎた。
まだ観ていない映画も、全て観てみたいと思わせる監督はそう多くいないものだ。

マックス・フォン・シドーやグンナール・ビヨルンストランド、イングリッド・チューリン、ビビ・アンデショーンなどベルイマンの映画では度々見かける。(もしかしたら常連か?)
この主要キャストの固定も作品の品質を維持させる要素のひとつかも知れない。
監督の意向を熟知した役者を使うことで、極めて狙いの精度は高まるはずだ。
特にマックス・フォン・シドーはベルイマン作品の象徴的な存在に想える。
神や死を語るに最も適した俳優のひとりであろう。
ストイックでナイーブだが、どことなくユーモアとペーソスを滲ませる。
とても味のあるユニークな役者で、実はベルイマンを観るひとつのお目当てにもなっているものだ。


この作品はベルイマンの初期作品に当たるらしい。
あの「処女の泉」はこの作品以後のものという。
「第七の封印 」「野いちご」もこの映画以降だ。


わたしにとって、まだ観ていないベルイマン作品がいくつも残っていることが嬉しい。




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