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6才のボクが大人になるまで

Boyhood.jpg

Boyhood
2014年アメリカ映画
リチャード・リンクレイター脚本、監督

パトリシア・アークエット、、、母親。
エラー・コルトレーン、、、息子メイソン。
イーサン・ホーク(ガダカでお馴染み)、、、本当の父親。
ローレライ・リンクレイター娘(姉)、、、監督の娘でもある。


12年間に渡り、キャストが同じ役を演じ続けるという途方もない企ての成果だ。
当然「時間」が何であるかが、浮き彫りになってくる。

更にメイソンの成長と彼の感受性にも見るべきものが多い。
勿論、母親と本当の父親の変化もリアリティに溢れ、タップリ感じ入るものがある。

過去や未来という何かがあるのではなく、過去や未来は全て「今」想起される表象であるという事。
これを改めて実感させられる映画であった。

冒頭、6才の少年が寝転んで空を見上げているところから始まり。
大学に入学して、一緒にハイキングに行った女の子とこころ通わせながら、夕暮れの空を見つめているところで終わる。
ただ、日常生活が描かれてゆく。
畳み込まれた「時間」が感情となって心を揺り動かす。静かに染み入らせる。
そんな現実が映されている。

メイソンは感受性と想像力豊かな資質を秘めていた。
彼は矢尻を作って石のコレクションに加えたいが為に、担任の鉛筆削りに石を詰め込んで壊してしまうような少年。
宿題が嫌いで、基本的に空ばかり見ている。
長じて写真家を目指すが、素質は充分であろう。

恋人が出来ると誰もが、自分の本心を語りたがるものであるが、ドライブ中などまさにその機会だろう。
「他の人の評価がどうしても気になってしまう。」
「どう思われても平気と口では言っても、本当は気になるものよね。」
「周りでボクをコントロールしようとする人間に腹が立つけど、相手は意識せずにそうしているんだろうね。」
「コントロールされなければ、何か変わると思う?」
「それは全部さ。やりたいことが何でも出来る。生きてるって感じがする。」
「あなたって、変わってるわね。」
「自分を普通に見せる必要がなくなるだろ。」

青いと言えば青いが、元々青空が好きなのだから、仕方がない。
わたしの好きなタイプの感性だ。

彼の気づいたんだ、と言う認識も同様に面白い。
人間は、ケータイの着信音を聞くと、ドーパミンが放出されるようになった。もう洗脳を受け入れアンドロイド化しているということだ。一からロボットを作るより、今いる人間をアンドロイド化する方が遥かにコスパがよい。
もう、人類は終わりだ。
こんな風なことを彼女に言って聞かせる。

「ボクは生身の人間と会いたい。プロフィールとかではなくて。」
「フェイスブックを止めたところで、ヒトに馬鹿にされるくらいだけど。」
「注目を浴びたくて止めるワケじゃない。」

なかなかよい青年に成長したものだ、と思う。
やはり写真家に向いている気がする。
この彼女とは、いつも暗いと言われ分かれるのだが。


母は3度離婚し、2度再婚する。メイソンとその姉は、2度新しい家族と生活を共にする。(正確には2度目の離婚後友達の家で暫くその家族とも暮らしている)。
離婚は、メイソンの嫌う「他者のコントロール」があからさまに暴力と感じられた時に起きている。
その間、本当の父親は、律儀にその新しい夫の家に週末に訪ねて行っては、2人の子供と時間を共にする。
その時間は、次第に濃密になってゆき、父親自身もしっかりした存在となってゆく。
気の利いた愉しい先輩といった友達感覚の人が、包容力のある思慮深い落ち着いた父になっている。
すでにこの時は、彼には新しい家庭ができていたが。

母親は、如何にもメイソンの親らしく、自らの内なる声に忠実に生きてきた。
実質シングルマザーとして働きながら2人の子を育て上げたと言えよう。
そして2人の自立と3人目の夫と別れ独りとなったとき、思いのすべてが突き上げてくる。
言葉では表せない想いだ。


不思議に作り物という感じが微塵もしない、世界を味わった。
この種の映画を今後作ることは、極めて困難だろう。
すでに余りに高い壁がそびえ立ってしまっている。


Boyhood02.jpg

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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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