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クロニクル

chronicle.jpg
Chronicle
2012年アメリカ映画。
ジョシュ・トランク監督。
前半は特にPOVショットが効いていて、自分が彼らと一緒に能力を得たような気持ちに誘発される効果があった。
画面を通して眺めるというより、その場所にいるひとりとして主観的に秘密の力に関わる身体性が生まれる。
このショット、使い方がバッチリ決まればかなりの演出が望めるものだ。


物語は、ひょんな事で洞穴を見つけて中を探検してしまった男子学生3人が超能力を持ってしまうことから始まる。
青春真っ只中やんちゃな盛りであることから、最初は他愛もない悪戯を楽しんでいたが、この力使ううちに強くなり、思いのままに何でも動かせるようになってゆく。果ては空高く自在に飛び回り雲の上でフットボールまで出来てしまう。
さらにこの力を使うもの同士、何か起これば共振し合う特性があるらしい。
それは、鼻血が急に出ることで察知される。

前半と打って変わって、3人の中のひとり、母は病気で寝たきり、父やいじめっ子達から恒常的暴力を受けている内向的な男子が、彼らの乗る車を煽って来る後続車を超能力で崖下の川に突き落としてしまう事件から、画面の雰囲気が重苦しくなる。
力を使う技能は身に付いたが、力を支配する精神はまだ育ってはいなかった。
また、それ以上に彼の危ない本質が露呈した瞬間とも言えよう。
特にいじめられっ子は、まず危険なおもちゃを手にする前に充分に癒される必要があった。
超能力のお陰で親友もでき、自信も次第につきはじめ上り調子になっていた矢先である。
更に力をうまく利用してパーティーで人気を得るも、肝心なところで、女子に1回愛想を尽かされたくらいで大いに傷ついてしまう。
元々弱い自尊心が完膚なきまでに潰され、かつてない程に彼は内向化するのだった。

後半はただひたすら、強大な力に翻弄されるばかりの悲惨な彼の姿を巡り、展開する。
元々程度の差はあれ、誰にも制御しきれない無意識の志向があり、思わぬところで噴出することはあるものだ。
彼の場合、余りに深いトラウマを抱えており、無意識から突き上げる攻撃性や破壊衝動は半端なものではなかった。
それが、獲得した力と結びつき、理性でコントロール不能、というより理性自体を吹き飛ばして荒れ狂う獣にしてしまう。
ここにまで来るともう手のつけようがない。

結局3人の親友の清々しい友情関係は直ぐに解体し、彼は説得にやって来た優しい献身的な親友を雷で殺し、もうひとりの従兄弟友達と対決することになってしまう。
やはり物を自在に操り破壊できる力はもったとしても、自分自身に対する自信や信頼は芽生えず、そのか弱い自我は追い込まれてゆくばかりであった。
もう行き着くところまで転げ落ちて行ってしまう。
2人の親友の誠意溢れる気持ちは全く届かなかった。

彼は、終始力を他害に使用せず、精神性を高めていった従兄弟に、やむなく殺される。
彼自身の力ではもはや荒れ狂う力を止めようがなかった。
もはや止めてもらうには、一番の親友の従兄弟しかいなかったはず。
それにしても気の毒だ。
彼の養育環境が切なすぎる。
彼はあの家庭からまず、救い出される必要があった。

従兄弟は哲学書を読むのが趣味であったが、内省の場を持つことの重要性を感じた。
特に酷い環境に置かれた者にとって、生死の境になる場合があろう。
結局、空を飛んで逃亡した従兄弟は、内向的な彼が生前に行きたがっていたチベットに行く。

もっと早く、3人で行くべきだった。
家をさっさと離れて。


カメラワーク、脚本、演出が特に見事と言える。
そして3人の俳優も迫真の演技であった。
デイン・デハーンという役者はマークしたい。


「第9地区」と並び評される傑作であることは間違いない。



人間、場合によっては、家出、ドロップアウトもするべきだ。
逃げないとどうにもならない時もある。
あの力を得たところで、3人そろってチベットに飛んでゆけば良かった。
結構、高僧になっていたかも知れないではないか。
力の使い方を誤ったとしか言い様がない。

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