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ゴーンガール

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GONE GIRL
2014年アメリカ
「セブン」のデヴィッド・フィンチャー監督
小説を元に映画化したものであり、脚本はその作者のギリアン・フリンによる。


非常によく練られた作品で見応えは充分であった。
148分もあっという間だ。
脚本も演出、カメラワーク、美術、音楽どれも一体となって高い完成度を誇っている。
キャストも皆厚みを感じる優れた演技であったが特にエイミー役のロザムンド・パイクの怪演は恐ろしい程のインパクトがあった。
役作りが見事である。
全体として、文句を言わせない出来栄えだ。
しかし、夫であるニコラスに同調しこちらまで、絶望的な虚無感に襲われてしまった。
後味はよいとは言えない。

敏腕弁護士さえ、彼女を怒らせるなよと言ってニコラスを見放して帰ってしまう。
やり手の刑事も諦め、警察も手を引く。
何故かメディアのせいで、彼ら夫婦は多くの人々に祝福される。
彼らの事(恐るべき真実)を何もわかっていない人々に。
(ある意味ゴシップもののメディアの大衆操作力は圧倒的なものがある)。
彼は所詮、自業自得と言えるのだが無罪でありながら、刑務所に入るより過酷な運命を引き受けることとなったわけだ。
彼の妹-このなかで最もまともな感覚の人-のこの先の苦労が思いやられる。

エイミーという妻はとても頭脳明晰な人であるが、こんな策謀に能力を使うなら、もっと創造的で建設的な方法を考えられなかったのか、と思ってしまう。
夫の浮気現場を見たことで、これほど綿密で奇抜な凶行に走るというのは、最早趣味の領域だ。
ただ、凄いもんだと感じながら唖然として彼女の行動を追ってゆくしかない。
鬼気迫る姿は迫力充分であるが、感情移入は無理で、終始遠巻きに観る感じであった。

エイリアンより異様で残酷な存在であり、共感困難であるが「女」ということで納得できてしまう面はある。
こういう手の込んだ事はしないまでも、本質はこういうものなのかも知れない。
と実感するところはあった。

このような特性の発現を促すものも、日常のすれ違い、失業などの経済関係、子供に対する考え、価値意識のズレ、環境、メディア報道、時間の生む問題など、、、が引き金となることが分かる。
波風なく安定した境遇にいたら、過剰な刺激もなくお互いに何も掘り下げる必要も生じず、自分のイメージを投影しあい何となく暮らしてゆくことだろう。


大抵のオカルト・ホラーより怖いことは間違いない。
この映画に虚仮威し的なものは微塵もない。
スリラー映画として捉えても一級品である。
問題作である。
この種の映画作品のスタンダードとなるはずだ。


しかし何回も観たいと思う好きな映画では、ない。



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