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エルスール

omero antonutti

映画記事が続いている。
たまたま映画について書いてから、関連したものをまた観たくなり、その感想を書き、、、
という具合で記事数が増えていった。

今日、観るとなれば、やはり「エルスール」か。
この調子で、暫く映画の感想記事は続く。

”El sur”
1983年スペイン制作
ビクトル・エリセ監督

少女エストレーリャが8歳から15歳に育つが、とても自然に変わっているのに驚いた。
女優をよく選んだと思う。演出の妙もあろうが。
別に特記するほどのことでもないかも知れないが、わたしは感心した。

圧倒的な絵の美しさ、構図の見事さは「ミツバチのささやき」に劣らない。
フェルメールの絵のようだ、という言葉をどこかで読んだ記憶がある。
一口で宣伝するには、秀逸だと思う。
語られるセリフも少なめだが、今回はエストレーリャの独白の形で物語が進むため、彼女のナレーションが簡潔に入る。
父親が自転車で家出した時から、回想が始まる。

娘と父親は共に愛情を抱きあっている。
しかし娘の幼さと、父親の秘密の大きさから、お互いの間に溝が出来ている。

それにしても父親アグスティンが何をしている人なのか分からなかった。
振り子で水源を探り出す職業なのか?これも何かの象徴か。
兎も角、霊感の優れた人であり、娘の憧れでもあったようだ。
映画を観るのも趣味らしい。
初聖体拝受の日に席につかず、教会の後ろで娘を見守るなど、、、。
謎めいた魅力のある人物だが、ずっと苦悩していることは、幼い娘も知っている。
彼はかつて「南」に住んでいたが、彼の父との確執もあり、北に逃れてきている。
しかしそれだけのことかどうかは、分からない。政治情勢も当然あるだろう。
言葉に容易く出来るものでは、とうていないものを抱えもっているようだ。
このオメロ・アントヌッティという俳優の秘めた感情を表す演技は素晴らしい。
(わたしの好きな映画「湖のほとりで」でも存在感を示していた)。

娘エストレーリャは、イレーネ・リオスという女優を父親のこころに発見する。
ビクトル・エリセ監督は、映画の中に映画を挿入するのが好きなのか、ここにも『日陰の花』という映画が見られる。
そのヒロインがイレーネ・リオス、父の意中のひとである。
その事を知ってから彼女の父親へのイメージが変化してゆく。
彼の苦悩と秘密に僅かでも具体性が帯びることはまた、彼女の内面の成長が促されることでもあった。
そして父親の内面-秘密の場所である「南」が、エストレーリャを一際大きな謎で魅惑してゆく。

何と言っても、グランドホテルで学校の昼休みに父と2人で食事をとる場面がよい。
その時、彼女は思い切ってイレーネ・リオスのこと、カフェで書いていた手紙のことを尋ねる。
(ミツバチ、、、では、母親がしきりに書いていた。これも監督の拘りか)。
答えは返ってこない。
授業をサボれないかと聞く父に、取り合わず彼女は学校に戻ってゆく。
アグスティンとの最後の会話となった。
彼女が父に同調すれば、彼は何をか語ったであろうか?

そして、、、
父は自転車に乗って家出する。
何も語られることなく、物語-彼女のこころは「南」へと収斂してゆく。


彼女は体調を崩し、実際に祖母のいる南の地に転地療養に向かう事になる。
「南」はまさに父を知る旅である。
アグスティンの過去と苦悩を少しでも知ることが出来るかも知れない。
彼女は彼が自殺する前日にかけた長距離電話の伝票をこっそり鞄に入れてゆく。


最後の、エストレーリャの晴れやかな表情が印象的であった。




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