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アメリ

ameri.jpg
音楽と映像が飛び抜けてよく、不思議なファンタジー映画を味わった。
アメリはひとことで言えば、不思議ちゃん。
フランス映画には、あまり見られないタイプの娘。
(大概、強烈な自己主張と自己顕示欲でギラギラしてたりするが)。

彼女はコミュニケーションが上手く取り結べない。
これは、程度の差で、皆似たようなものだと言えるが。
わたしも大の苦手である。

かと言って、アメリのように変わった面白いことは、出来ない。
まず、あのようなことは、思いつかない。
それ以前に、イタズラする茶目っ気が足りない。
それに何をか起こす前に、疲れる(笑。
確かにコミュニケーション不全を強く「感じている人」ほど、凝った洗練された自己表現にたどり着く。
なかには信じがたいほどの彫琢を経た作品に仕上げて、普遍性まで獲得してしまう場合もある。
偉大な芸術家はそういう例が少なくない。(表現者にならざる負えない方々である)。


自分の部屋で、ふとしたことから古い宝箱を見つけるアメリ。
何となく面白そうだし、それを当人に返そうと決める。
住所を探して、自分と悟られないようなかたちで、彼に宝をそっと見つけさせる。
40年ぶりに少年の記憶を取り戻した彼の、その感動と喜びよう!
その匿名の行為はアメリにとって、この世界がシンプルで明るく澄み切っていることを開示した。
何と言うか、ワクワクすることに乗っかる爽やかさがある。
アメリ発案のこの世の人との繋がり方であろう。

それから、自分の働くカフェでこっそり恋の橋渡しをしたり。
八百屋で虐げられている店員(ジャメル・ドゥブーズ「アンジェラ」の主役)を助けるため、意地悪店長を懲らしめる。
長い年月を部屋に引き篭って過ごす孤独な老画家の好奇心と探究心を蘇らせ、制作意欲と他者への関心を取り戻させる。
老いて意欲の失せた父親の大事にする人形を世界中旅をさせた写真を送りつけ、自分の外の世界への関心を再燃させもする。
自分の手の込んだイタズラ(趣味の領域か)で周りの人が元気になる姿に、彼女は世界との繋がりを感じ充足感を得ていた。

しかし、自分が今度は、当事者となってしまう。
とても変わった趣味を持つ青年に恋をしてしまったのだ。
自分が直接他者と関わる事は原則出来ないため、自分を隠してイタズラをしてきたのだが、今度ばかりはそうはいかない。
回りくどい手の込んだ伝え方をするが、その為事態をかえってややこしくしてしまう。
だがその正体のはっきりしない不思議さが、相手の男性の興味を煽ってゆく。
こころの距離はどんどん縮まる事となった。


この映画全般で重要な役目を果たしているのが、手紙と写真である。
40年越しに届けられた今は亡き夫から妻に送られたラブレターが塞ぐ妻を蘇生させた。
アメリと彼との間も、ずっと手紙(メモ)と写真(パリ駅のスピード写真)である。
父親には、各国の名所をバックにした人形の絵葉書であった。


観終わってみると、極めてお洒落なフランス映画に他ならない事が分かった。

ピアノとアコーディオンの曲が終始良かった。
エンドロールも最高である。



ルノアールの『舟遊びをする人々の昼食』を模写しながらその中の水を飲む女性の目が何処を見ているのか分からん。
と言いながら、その女性とアメリをかけて、彼女の意中の男性との関係を確認する老画家の粋なこと。
アメリがその方が自分のこころを彼女に託して語りやすい。

映像もビビットで鮮やか構図も決まっている。
全体が絵のようだ。
更に、アメリ自身のこころの動きが、ルノアールの絵の中で初めて素直に零れる。
最後は、この画家の危険を顧みず飛込め、の一言で彼らは結ばれる。

オートバイで走る彼らの姿は、わたしにはレオンカラックスの映画のシーンに重なった。
ちょっと不思議さ加減が、ジュリエット・ビノシュを思い起こすところがあった。

この女優(いやアメリ)の掴みどころのない個性は新鮮である。


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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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