フィールド・オブ・ドリームス

”field of dreams”
1989年度アメリカ映画。
この映画は、思い出深い映画である。
昔わたしがかなりの集団を連れて見に行った映画なのだ(笑。
この映画を見たいという人がおり、それではみんなで見に行きましょうということになった。
結局すごい人数になった。野球チームよりずっと多い人数だ(笑。
とうもろこし畑とナイター照明に映える芝生が綺麗だった。
わたしは野球には興味ないのだが(強いて言えば日ハム)、同僚に連れられ1度だけ見に行ったことがある。
確か「ヤクルト対阪神」のナイターで、今でも芝生の色とビールの味で覚えている。ビアガーデンで呑むビールより美味かった。これでタンの串焼きでもあるとこたえられない、と思ったものだ。
野球は時折、大きなヒットが打たれた時だけ何かあった、という気がしたが後はただ緑を眺めつつ、ビールとおつまみを味わっていただけである。
阪神ファンの同僚は、贔屓チームの負けで落ち込んで、やけ酒を飲みに行き、わたしは帰った。
さすがに、もう呑めない。
この映画、とうもろこし畑がよい。
ケビン・コスナー演じる主人公レイが生活苦も顧みず、畑を削って野球場にしてしまう。
仕事中にお告げを聴いたのだ。
"If you build it, he will come."
しかしその言葉が球場を作れという意味だとは、わたしにはわからなかった。
彼にはそれが分かった。お告げは、やはり分かるヒトにしか降りてこない?
畑を犠牲にしてナイター設備までして、どういうつもりか、、、。周囲の人からは好奇の目で見られる。
奥さんの同意がなければ、まずこんなことは出来ない。
ある晩、幼い娘が球場に誰かいる、と言ったときから毎日かつてのメジャーリーグの選手が現れるようになる。
とうもろこし畑の堺から、往年の野球選手が出てきたり帰っていったりする。
レイが作った野球場を天国だと言って、野球史に名を残す選手たちがゲームを楽しんでいるのだ。
この様子は、見えるヒトにしか見えない。
夢や理想を大事にもっているヒトにしか見えないらしい。
内なる声に耳を傾け、その声に従いましょう(あの声は君の声だ)。夢を大切にしましょう。
不条理こそ信じましょう。素敵なことがおきます、という御伽噺である。
また、自分の目で確認出来るということが、如何に肝心か。
結局、見えたということが分かったとなる。
それには前提として、表象として当のものを有機化させる言語が無意識的に生成されていなければならない。
冗長性から相転移するかのごとく、一気に見えるときは見えてしまう。
丁度、レイの義兄がそんな様相であった。
面白いのは、彼らレジェンドたちは、球場の外には出られない。
少なくとも野球選手としては実体化しないようだ。
そして1度外に出たら、もうその当時の選手の姿には戻れない。
だから彼らの誰もが縁で止まる。この世の人間は、自由に球場に入り彼らとキャッチボールが出来るのだが。
野球選手では芽が出なかった高名な医者が、1度でよいからバッターボックスに立ちたいという願いを叶え、また医者に戻り去ってゆく場面には、かなり感動してしまった。(役者はバート・ランカスターだ!)。
それからレイと今は亡き父親がそこでキャッチボールをする姿である。
キャッチボールにことばはいらない。
ここで、きっとレイと父との失われた時間は全て取り戻されたのだ。
"If you build it, he will come."とは、このことだった。
やはり、レイの内なる声であった。
最後に気になったのが、作家であるテレンス・マン(サリンジャーがモデルらしい)が、彼らの一員シューレス・ジョー・ジャクソンに誘われ、とうもろこし畑に消えてしまったことだ。
若い頃の夢に浸りたいヒトたちが、たくさんオハイオのこの球場にやって来る、と太鼓判を押していたテレンスである。
この球場のことを本に書くとレイに約束して行ったのだが、どうなったのか?
それが、今でも分からない。
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