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ダウン・バイ・ロー

down.jpg

”Down by Law”
原題そのままだと何故かホッとする。
刑務所のスラングで「親しい兄弟のような間柄」だそうだ。
アメリカ/西ドイツ。
1986年。
監督・脚本はジム・ジャームッシュ。
何と、自主制作映画だという。インディーズ・ムービー又はインディペンデント映画というやつだ。
という事は、自己資金で制作したものか。
ハリウッドから出てくる映画でないことだけは、わたしにもハッキリ分かるが。

トム・ウェイツはミュージシャンだけでなく、俳優もやってたことを初めて知る。
彼の歌声も良いが、ジョン・ルーリーの音楽がまた、ピシャリと決まる。
この監督、役者をミュージシャンで固めるのが好きなようだ。
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」でも主演の2人はミュージシャン。
ここでも2人がミュージシャンで、本業の音楽も担当している。

「アメリカは大きなルツボ、熱して沸騰させればカスが上に浮き上がる。」
のっけからこんな決まったセリフが飛び出す。
モノクロでまるでミュージックビデオみたいなスタイリッシュな映像にもう釘付けになる。
タルコフスキーの「ストーカー」も男3人連れで、ひたすら彷徨い歩くものであったが、大分雰囲気は異なる。


まず前半だが、リアルな描写で、現状に満足出来ないが、どうしたらよいか分からないでいる男2人が、揃ってごろつきにハメられる。
ジャック(ジョン・ルーリー)とザック(トム・ウェイツ)の2人は同じ監獄に入れられ、反りが合わず反目しながら一触即発状態で過ごしている。
2人とも騙されやすいお人好しだがプライドと理想だけは高いというところがソックリで、似過ぎているため癪に障る。
陰険な空気が濃くなるばかり、、、そんなもんだ。
そこへ突然、調子の良いイタリア人ロベルトが仲間入りしてくる。
片言の英語であるが、お喋りで陽気。
ホイットマン好きの彼は、ジャックとザックを事あるごとに呼び間違える。
そんなことで2人ともすぐに打ち解け、ユーモアに富んだ会話と人柄でそこを和んだ空間に変えてゆく。
「何故そいつを殺ったんだ?ホイットマン嫌いだったのか(笑?」2人もツッコミをいれるなど明るさを取り戻す。
ここでの仕草や会話の間の取り方はホントに、絶妙である。
それだけでも魅惑されるほどだ。
「アイスクリーム、ユースクリーム、、、」の合唱(バカ騒ぎ)は、脚本なのかアドリブなのか、踊りの起源を観るような面白さだった。


わたしにとって、ここから先が後半となる。
寓話の世界だ。「ヘンゼルとグレーテル」ばりの。
ロベルトが脱走を持ちかける。
最近、「ショーシャンクの空に」で頭脳明晰な男が19年を費やして、大変な苦労の果てに脱獄に成功した話を観たばかりであるが、ここでは能天気な男3人があっさり脱獄する。あまりにあっけなく。
これでは、全国の刑務所から囚人が一人もいなくなっても可笑しくない。
ロベルトの言う「アメリカ映画の脱獄場面」でこういうの見たって、一体なんという映画だ?

沼をボートで彷徨う。
同じところを堂々巡りする。脱獄したは良いがどっちがましだったのか、途方に暮れる。
ボートが沈み、岸に上がってもここが何処か見当もつかない。
虫やヘビ、ワニに怯えるばかりの荒野である。
外の世界に解放されたのに、焦燥感と絶望がこみ上げるばかり。
また、2人のケンカが始まる。
そして、ロベルトの捕まえたうさぎを食った翌朝のことである。

「美しき冒険旅行」でもとても印象的だった、道ー文明の象徴を見つける。
一行は安堵感に包まれ歩き出す。
すると忽ち、おとぎ話そのままのレストランが現れる。
ヘンゼルとグレーテルを食おうと待ち構えている魔女の作ったお菓子の家か、日本の話なら差詰め、たぬきが人を魅しているだけである。

そこで、2人を待たせてロベルトが偵察に入るが、その場でレストランをひとりで切り盛りする女性と恋に落ちてしまう。
彼はもう友達を忘れて食事を楽しんでいる。それより凄いのは、もうすでに相思相愛状態なのだ。
その女性は囚人服の男が突然やってきて訝る気持ちはなかったのか?
それ以前に、とんでもない辺鄙なところに、そこそこお洒落なレストランを女手一人というのは、ほとんどホラーの設定である。
魔女なら分かるが、イタリア出身の普通の美女であった。
4人は美味しいイタリア料理を満喫する。ロベルトと女主人の祝福も兼ねて。
2人はこの先ずっとそこに暮らすと言い、ジャックとザックは翌朝、西・東に分かれて旅立つことになる。
しかし後半のこの展開に、特に躓くことは無く自然に観ることが出来た。

彼らが分かれ道まで一緒に歩くシーンは珠玉の映像である。
カメラワークは全編を通して秀逸であった。
分かれ道で2人が上着を交換する。
しかし言葉もなく握手もせず、さっさと違う道をゆくところが、また実に味わい深い。


お洒落な映画であった。(あらゆる意味において)。



VHSテープ版で以前見たはずだが、、、今回DVDでとても新鮮な気分で観ることができた。

「アイスクリーム、ユースクリーム、、、」の件であるが、どっかで聞いた覚えがあると、しばし考えたら、榊原郁恵の歌にあったことを思い出した。
思い出すべきことであったかどうかは分からないが、思い出してしまった。

それだけ、追記しておきたい。

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