未来世紀ブラジル

”BRAZIL”
わたしは、以前ブログで「未来世紀ブラジル」はまだ観ていない」とキッパリ書いていたが、今回それを観てみて、過去に見ていた事をはっきり思い出した。あの記事は嘘であった事が判明した。わたしの記憶力は実に怪しい。
サウンドオブサンダーの時も、映画の題を思い出すのに苦労した。
パッケージ裏の説明書きを幾つも確認してみて、それを探り出した。
内容を断片的に覚えているものが多い。
「バンデットQ」ははっきり言ってつまらなかったが、これはかなり面白かった。
”BRAZIL”まさにあのサンバの名曲である。
内容にジャストフィットしている。
あの翼を付けた主人公サムが女神を追って飛んでいる空はBrazilの空だろうか?
Brazilとはまさにサムの精神が破綻したところから生じた楽園に繋がる幻想空間であろう。
恐らくあの美女を夢に見た時から狂気が彼の精神を侵食し始めたのだ。
彼は優秀なのに立身出世などに興味なく、生真面目で正義感もちょっとある、できる男であったが、、、。
現実の世界において、夢とそっくりな女性に出逢ったからといって、常軌を逸した行動に出る。
彼女に対する、その突拍子もない無茶な突進は、頭のネジがどこか抜けているか夢の運動に似ている。
初対面の相手に対し、自分の立場も顧みずあそこまで猪突猛進出来るものか?
自分たちをただ追い詰めるばかりの危険な行動がエスカレートするばかり。
何処か調子の狂った冗談話に思えてくるのだ。
無論、現実そのものが悪夢であり、狂態を顕にしている。
情報省が絶対的な権力を握る管理社会。
そこでは、爆弾テロは日常茶飯事。
「ハエ」によってタトルがバトルにミスタイプされた書類が元で、無実の男バトルが家族のいる前で役人たちに強制連行され、機械的な手筈により拷問で殺される。
子供たちはこの問答無用の強制連行を面白がって遊びにしている殺伐とした街。
その遺族への過払い金返金(拷問は当人自己負担)の小切手処理に手を焼き、自分の不運を嘆く役人。
役人は、常にミスに怯え自分の局のミスを他の機関に必死で押し付け合う。
全てが書類(数字と記号)のやり取りの問題に完結する。
苦情を訴える書類などは、窓口を永久にたらい回しにされ採り上げられない。
書類を拒絶し、ゲリラ的なモグリの修理屋なども暗躍する。
勿論、危険人物として指名手配だ。
何から何までセントラルサービスに一元管理されている。
アンチエイジングの美容整形手術は、リスクなど度外視で怪しい医者に丸投げ。
レストランでも注文は全て番号。料理はみなペースト状である。
何故かダクトを巡って何度も珍事件が起きる。ダクトへのコダワリは何か?
役所の伝達メールは、コンピュータでは行わず、やはりダクト状の管を通してやり取りする。
妙にアナログで面白い。
役所のすべては形骸化しており、みな忙しぶって書類を持って動き回っているだけ。
サムはその中、ひたすら彼女を追い求め、彼女も急にサムに好意を寄せ、2人は愛し合う。
流れるというより、パッチワーク的に物語は進む。
サムの夢には、亡者となったバトルの家族や大魔神のような姿の東洋的な巨人、何処かで見たことのある岩石の怪人などが出てきて、彼は羽で空も飛べる勇者として、果敢に戦う。
しかし、倒した大魔神が仮面を取ると自分の顔であった。
そこで目が覚める。
何をか自覚したのか?
果たして、どうなのか?目覚めたかどうかも疑わしくなってくる。
サムは最後に思い切り派手な楽天的で気味の悪い夢を見て、逝ってしまったと受け取れる。
しかし少し遡れば現実と想えたシーン、特に彼女の現れが何時も余りに唐突でしかもご都合主義である。
恐らく彼は極めて早い時期に発狂し、白昼夢と夢の間を行き来していたと考えたほうが腑に落ちるのだが。
現実にどんな動きをしていたのかが実は1番判らないくらいだ。
そんな気がする(笑。
面白い冗談映画であった。
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