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GOMA28

Author:GOMA28
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第三の男

The Third Man

The Third Man
1949年。イギリス。キャロル・リード監督。

映画らしい映画を見たいと思い、これを観た。
以前、淀川長治氏が「映画の教科書」と評していた作品である。
教科書と言われると少し抵抗があるが、完成度の高い文句なしの映画だと受け取れるものだ。
オーソン・ウェルズも出ているということで。
そして、観て気づいたのだが、すでに観ていた映画であった。半ば無意識のうちに、、、。
(地下道で逃げ惑うウェルズは記憶に残っていた。いつ見たかは定かではない)。

何と言うか、「映画」を観る事の恍惚感をたっぷり味わえた。
「映画」というものを観たという気持ちだ。
そして、今後も時折見直したいと思う。
(映画とはどんなものであったかを思い起こす意味で)。


「第三の男」
非常に繊細なモノトーンであり、カメラワークもアングルショットによるサスペンス効果充分のものであった。
そこに分割統治下のウイーンの街並みの退廃的な美しさが際立っていた。
光と闇の絶妙な操作-コントラスト。影の中から浮き彫りとなるウェルズの表情。人影の巧みな使い方。
演出はきめ細かい。
圧巻は、地下下水道におけるウェルズの鬼気迫る逃避行のシーンである。
明暗の階調はピッタリで、動きやカットに全く無駄が感じられない。

配役も実に決まっている。
主役の三文作家ホリー・マーティンスにジョゼフ・コットン。
親友のハリー・ライムにオーソン・ウェルズ。
親友の彼女、女優でもあるアンナにアリダ・ヴァリ。
ウェルズの存在感はやはりただものではない。顔からしてそうである。
アリダは感情のうねりを秘めながらもブレないクールな女性を好演していた。
ジョゼフ・コットンの幾分粗暴だが内心揺れ動く心理描写は説得力があった。
音楽構成も申し分ない。音はチター奏者アントンカラス作曲・演奏によるもの。
なるほどこの曲かと思った。余りに耳慣れている曲だ。

ストーリーも多言語(米英仏ソ)入り乱れる戦後のウイーンの環境を効果的に表現している。
というより、第三の男を探りつつ、怪しげで胡散臭い人物たちと関わってゆく現実の不透明さをよく実感させてくれる。
交通事故にカモフラージュした友人ハリーの失踪を巡り、ハリーの彼女アリダも絡み話はスリリングに展開してゆく。
緩急のある流れにこちらは抵抗する間もなく乗ってしまう。
特に主人公ホリーが公演場所まで猛スピードで車で連れ去られるシーンには、ビックリした。
ホリーとアリダの間は親密度は増すが、感情的に噛み合わない。
観覧車でのハリーとの濃密なやりとり。粗悪な薬品横流しで荒稼ぎする彼への苦い失望。
ハリーとの関係を巡り、治安警察官との取引も絡み、友人の彼女アリダとの感情も縺れてゆく。
終盤、急降下するようにスピーディに呼吸が苦しくなるほどの緊張感ある地下道のシーンへと流れる。


何かが足りなかったり、突出している感じがしない。
これぞ職人芸であり、完成度の高さであろう。


この話は友人の葬儀に始まり、同じ友人の葬儀で終わる。
ホリーにとっては、信頼していた友人の喪失となるが、アリダにとってハリーへの恋愛の情は変わるものではなかった。
主人公が帰りの空港に行く車から降り、墓地から銀杏並木の道を歩いてくる彼女を待つ。
しかしアリダはホリーに一目もくれず、そのまま立ち去ってゆく。

その絵の静かで美しいこと。



まさに「お手本」と成りうる映画だ。
これを観ると、後の映画に如何に大きな影響を与えているか分かる気がする。


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