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サウンド・オブ・サンダー

sound.jpg

大分以前に観て、心に残っていた映画である。
わたしがこれまで観たSF作品の中では、かなり異色で際立ったものであった。
映画を観た後で考えると、何故、"A Sound of Thunder"なのかよく分からないが。
レイ・ブラッドベリの短編を元にした映画のようだ。
その短編が「雷のような音」ということで、そのまんまの題にしたのであろう。

これは完全に時間をテーマにしたサイエンス・フィクションである。
そして見応えはあり、何か清々しい。アカデミー賞級の作品ばかり観ていた為、癒しにもなった。
ただ2005年はCGはまだこの程度であっただろうか、とちょっと躊躇いを感じた。
予算の関係であろうか、かなり前時代的な合成画であった。
それであっても、もう一段階ブラッシュアップして仕上げればかなりの作品になったはず。
見かけはB級的な雰囲気を醸すとは言え、内容的にはしっかり考えられたストーリーである。


TIME SAFARI社は”TAMI”というTime Machineで富裕層相手の「白亜紀恐竜ハンティングツアーサービス」を行っていた。
2055年という設定である。そんな遠くではない。(この時代には野生動物はみな死滅してしまいDNAすら残っていないということ)。
所謂、時間旅行である。(関わっている科学者は野生動物のDNA構造をタイムトラベルを利用して解析しようとしてツアー会社にいる)。
ただし白亜紀を見たついでに恐竜を撃ち殺すというスリルとアドベンチャー気分も味わえるというもの。
(撃ち殺す恐竜は数秒後にその池で死ぬ運命にある恐竜ということだ。玉も氷で溶けてしまう)。
巨額の代金を支払うようだが、ツアー自体は大したものではない。
わざわざ白亜紀に行くのならもう少し行動範囲や場所、時間にもバリエーションが欲しいといううものだ。
しかし何にしてもタイムトラベル。必然的に高いリスクを伴うため、絶対的なルールがある。
過去に如何なる変更も及ぼしてはならない。
そのためには、現代の物を残してはならない。
物を持ち帰ってはならない。

しかし、ツアー準備で作業員がミスを犯し、主人公の銃が使えなくなってしまったことからパニックに陥った客が靴底に1.3gの蝶を貼り付けて今の世界に戻ってしまった。
(このミスに対して何でハイゼンベルグの不確定性原理が引き合いに出されるのかは疑問だが)。
儲け主義の社長が生体反応をチェックする機能を節電(経費削減)のためOFFにしていて事故に気付かなかったのだ。
それによって段階的に世界が激変する事態を呼ぶことになった。
文字どうり、これぞ”バタフライエフェクト”である。

sound02.jpg

ここで秀逸なのは、”タイム・ウェイブ”という概念だ。
丁度、水の波紋の広がるように改変された時間ー場が現在に打ち寄せてくる。
何度かに分かれて、それはやって来る。
これが大変ドラスティックな変化を予感させ、見る者の不安と好奇心を煽る。

タイム・ウェイブは、問題のツアー後から衝撃波として打ち寄せてきた。
11月なのに夏のように暑い。しかも湿度は90%。
そしてまずは、植物の凶暴な繁殖が始まる。
sound03.jpg
異変の真相に気づいた主人公の科学者たちは、そのツアー以前の地球に戻すために奮闘する。
過去が書き換えられたため、生態系全体の上書きがなされる。
その時、人類は存在するのか?存続していたとしても、どのような存在として、、、。
人類にとって、未曾有の危機が迫った。

ビルは植物に取り込まれ、もはや電気もない。かつての街には魔物たちが跳梁跋扈している。
人は瞬く間に地上で最も脆弱な生物へと追いやられる。
最初は植物そして昆虫、さらに爬虫類とも哺乳類とも思えない、いづれも凶暴に進化した生物が猛威を振るう。
食人シダ、食虫バラ、昆虫型生物、ヒヒ型生物、コウモリ型生物、ウツボ型生物等、、、地・空・水における異形の数々。

TAMIのHDを作動させる発電機が生きているかどうかにかかってくる。
もう時間がない。最後の波が打ち寄せてくる。
新たな姿で立ち現れる人類ー彼女がちょっとだけ確認できる。
爬虫類のルーツが入っているようだった。
(なかなかチャーミングで、良いアイデアに思えた)。


かなり思い切った仮説であるが、説得力がある。
こういう進化もあるはずだと思わせるに足る生物の形体である。

「時間」に正面から取り組んだSFのなかでは出色の出来であった。
白亜紀より以前の時間に飛んでから目的の場所に戻り、無事蝶を踏ませず、二度と同じ過ちを繰り返さないための証拠ビデオも撮って帰るのにも成功。
ハッピーエンドである。


美術・撮影技術面にもっと自然な説得力があれば、名作として残るものだと思われる。
肝心なシーンが技術的(経済的)な限界からか踏み込み不足を感じる。
実に惜しい。
だが好きな映画である。


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COMMENT

タイトルの秘密

サウンドオブサンダーは、原作の結末に出てくる言葉です。映画では大幅にストーリーが変わっていますので、意味をなしません。(ライフルの音です。バッドエンドです。)

ライフルの音?

成る程、ライフルの音なら、そう聞こえるのかも。
原作では、それがはっきり意味ある(重要な)音なのですね。
映画では全くそのシーンもそこに行き着く流れもなかった。
では、題名をそのまま使うのは、意味ないですね。

原作から着想を得た、異なる映画を製作することは多いですが、その際の題名にはもっと適切なものを考えるべきですね。
ブラッドベリは好きで、読んでいた時期はありますが、これは持っておらず、時間をつくり入手し読んでみたいと思います。

題はともかく、この映画自体は好きな方です。

また、興味深いご指摘お待ちしております。

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