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メメント

memento.jpg

メメント・モリ  死を想え
メメント、、、ここでは、思い出とは何か、、、であろうか?
記憶は、正常であっても無意識的に意図的に編集され改竄されもする。
更に記憶障害をもった際に、意識的に記憶を操作することができる場合も生じてくる。


クリストファー・ノーランという人はこういう映画を撮るんだ。
「時間を感じないヒトがどうしたら癒されるのか。」
これは大問題だ。
主人公にはL.A.コンフィデンシャル に出ていたガイ・ピアース 。
複雑な役柄である。ハードボイルドな表情が印象に残る。


空間の物語はすごく作り易い。
時間も空間的に描けばわかり易い。
時間-記憶がほとんど覚束無い状態をそのまま描こうとすると、これは難しい。

妻を暴漢に襲われ殺され、自分も頭を損傷し脳にダメージを与えられる。
彼は前向性健忘症という側頭葉性健忘症のひとつの症状を呈し、新しいことが覚えられない。
今起きていることも僅かな間しか記憶に留めておけない。
であるから、逐一メモをとりインスタントカメラで写真を撮って、自分に起きた事象を管理している。

この映画、こちらも何も解らない状況で、主人公と共に出来事を体験してゆく。
俯瞰できる立場にない。
ある種の臨場感が特殊な鑑賞体験を生む。

主人公は自らの妻の事故以前の記憶はもっているが、肝心な部分を自己防衛のために書き換えている。
妻の死因についてである。
『サミー・ジャンキスを忘れるな』と自らの腕に彫った刺青を彼は何度となく確認している。
自らの胸に沸き起こる矛盾を打ち消すかのように。
妻は実は、暴漢に襲われた事が原因で死んだのではなく、彼がインシュリン注射で妻を死なせてしまった(妻の自殺を結果的に助けてしまった)という事実を無意識の底に押し沈めてしまっている。
自分を襲った悲劇を、サミー・ジャンキスと糖尿病のその妻の物語に捏造し罪悪感から逃れ、無意識的に復讐の正当化を図っている。

結局、連続殺人が自己目的化している。
真犯人ジョン・G(この人物はすでに1年前に彼に殺されている)をこの先、際限なく探し出してゆく。
夥しいジョン・Gをこれからも標的にして。

最初悲劇の主人公のような様相で出てきた男が。
また周りの人間すべてが麻薬がらみで、主人公に手を貸す素振りで彼を良いように利用していく。
金儲けのために。皆、悪人である。

しかしこの映像形式は、喪失していく時間を扱う上で革新的な手法だと思う。
非常に短いスパンで、出来事が遡行してゆく。先ほどのシーンの原因が次のシーンで判明する。
まるで時間パズルを見るようだ。
ひとつのシーンにも、「おれはやつを追っているのか?いや追われているんだ!」
拳銃で狙われていることを忘れていた事に気づく。
先回りして身を隠していたことを忘れ、相手の部屋で無防備にシャワーを浴びてしまう。
非常にスリリングであり、普通に生きることすら困難を極める。


「時間を感じないヒトがどうしたら癒されるのか。」
主人公が問うたこの問題は大きい。
生きるための強烈な目標を設定しないことには、習慣も条件付けも、手順もそもそも計画自体が覚束なくなる。
つまり生きられない。大変な強度を維持する目的がなければ続かない。
そして彼は常に殺人の達成を記録から消し、新たな復讐劇に身を投じる。
彼自身が彼の病いを利用している、逆説的なテーマに掏り替わってゆく。
生きるために。
いや、刺青が消えない限りこれは続くはず。


主人公の忘れっぽさに、わたしに似ているなどと見始めたが、記憶が如何に生活を普通に送るために大切なものであることを思い知ったものだ。






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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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