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9

9.jpg

奇妙な映画だった。
ティム・バートンが関わっているということで観た。
人形(人形たち)が主人公であるが、パペットムービーのようなものではなく、大変動きが細やかでスピーディーなキャラクター映画だ。ピクサスで馴染んでいるあのアニメーションの動きだ。それにダークな雰囲気を与えたものか。


廃墟の光景は見事であった。
今回のCGは質感も際立っていた。
人形も寂しげでうらぶれた独特な個性のある形で魅力的である。
動きの意外性もディテール描写も充分楽しめた。

ストーリーは変わっていた。
特に主人公の9であるが、面白い立ち位置である。
通常ハリウッド方式であれば、主人公が必ず正しい道を選択する。
周囲が誤った方向に進むが、悪戦苦闘して修正しカタストロフ的に解決へと雪崩込む。
この物語はしかし、9はどんどん仲間の人形をこの世から抹殺してしまう流れに落としてゆく。

次々に9が発端となりきっかけを作っては、仲間を暴走するマシンの犠牲にしてゆく。
これが所謂、ヒーローらしからぬ主役なのだ。
マシンに精気(エネルギー)を吸い取られ死んだ仲間を救えると主張し、彼らのことは諦めてマシンを破壊しましょうという声を聞かずに、策を講じようとする。
その間にまた仲間が殺られる。

ようやく、見ている方には皆目分からないが、仲間を救う方法が見つかったと言う。
それを実行に移す。
この時にも、9を疫病神だと批判していたリーダー1が彼を救うために身代わりとなる。
そして、敵のマシンを倒し、手筈通りに装置を起動すると、これまでに犠牲になった人形の魂がそこから抜け出てくる。
9たち残った人形に挨拶などして、彼らはみんなで空高く昇天してゆくのだ。
9たちはそれを厳かに見守る。
9とともに生き残った7が、「彼らは自由になったのね。」と夜空を見上げて囁く。

えっ助かる、つまり元に戻るのではなかったのか!?
ある意味、わたしにとってのどんでん返しであった。
途中から後で戻せる事を前提に犠牲を出しながら戦いを進めていたように映るのだが。
もう誰も死なせないと固い決意をしたのは、最初自分が助けられ世話になった2の時だけである。
ハリウッド映画なら、その後の主人公は、身を呈して仲間を守り抜き互いに健闘を讃え合って終わるのだが。
ほとんど主要メンバー全員昇天してしまい、残ったのは9と彼女の7と途中で発見されたよく解らない双子だけである。
ひどく寂しくなってしまったではないか、、、。
こういうことだったのか?

そして最後の9のことば。
「ぼくたちでこの世界は守る。」
それはよいが、君の采配ではみんなが昇天して救われることになってしまうぞ。
それもひとつの捉え方だが、少なくともこの世界-下界は守れない。

そのうち誰もいなくなる気がした。


究極の廃墟映画であった。
トーンが統一され画像全体の仕上がりに破れ目は一切感じられなかった。
映像としての完成度で満足させる映画であろう。


しかしあのピクサスの「メリダと怖しの森」のような不快感はないとは言え、妙に座り心地の良くない椅子で鑑賞した気になってしまった。


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