夏の夜

もし耳を澄ませて、水瓶座流星群の音が聴こえたら、言うことなし。
頼んでおいたビョークの"Cocoon"を観た。
ビョークと石岡瑛子さんが組むとこういうことになるのか!
ただ、モニタに吸い付けられた。
曲もビョークのしなやかに通る囁きに近い唱法で催眠状態に陥る。
やはり、あの真っ赤な生き物のような紐だ。
あれがビョークの顔・体中に職種のような動きで接したり巻き付いたり。
ビョーク自身とても心地よさそうに見える。
それはこちらにも照射される。
口に入ったり、様々な動きをしてゆくうちに、その本数・量は夥しく増え、しまいにビョークを頭から足先まで巻いてしまう。
すると、そのまま重力から解かれて浮かんでゆく。
中身はどうなったのか?
蛹を強く連想する。
想像もつかぬ異なる何かに生まれ変わる、、、。
ここではない場所で?
真っ赤なミイラ状になったまま。
それは、宙に浮いてゆく、、、。
もう今日は余計な刺激は入れたくない。
このまま、感覚の浄化を待ちたい。
余計なことも考えず。
今日は、ほぼ丸一日間、病院であった。
一番大きな待合ホールにいたためか、ノイズが入り乱れて入ってきた。
近くのご年配の話が大きな声で、丸ごと入ってきた。
少し離れた頭上のモニタには、国会答弁が。
何やら「国家安全保障基本法」に関する野党議員からの質問が出されているようだった。
切れ切れに聴こえてくるのは、特殊な状況下での枝葉末節な事柄をつつく様子に見えた。
恐ろしいのは、ある意識の不条理な欲求ー法案が大きな声でゴリ押しのうちに通ってゆくことだ。
身近にも何度もそんな状況を経験した。
いつしか間に入ってくるような感じで。
自分があらぬ場所に立たされていることもあった。
今回は、日本がよって立つ基盤にトドメを刺すかたちでやってきた。
大地震よりも核のメルトダウンよりも大きなインパクトをもって。
憲法を無視して違憲法案が通るようなら、もう何でもアリの世界がすぐそこに開けている。
まずは、今日は感覚を清めたい。
あんなふうな蛹に成って。
耳を澄ますと、ノイズが幾重にものしかかっているのが分かる。
わたしは、重く沈むしかない。