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ファーゴ

fargo.jpg

リアルな映画であった。
一面雪である。
完全犯罪を狙った、用意周到に練り上げられた犯行などは一切なく。
それを緻密な推理で解き進むようなクライム作品ではない。
スリリングなカーチェイスもなく凄まじい銃撃戦もない。
全体のテンポも結構のんびりしている。
いかにも田舎町の出来事だとわかるものだ。
あたかも実際にあった事件に思えるものである。
(実際にあった事件であってもほとんど創作らしいが)。


そもそも偽装誘拐の発想からして、その計画はお粗末極まりない。しかもせこい。
何のプランらしいプランもない。
もう最初から行き当たりばったり。
実行犯の二人はとても仕事を任せられる男たちではない。
後先を考えての行動が全く出来ない2人である。
そのふたりの相手をした元女子大生2人が、これまた現実にいそうな能天気ぶりである。
女性警察署長だけ頭脳明晰であるが、家庭も大切にし、食にも拘り、暇を作って友達にも合い、仕事も効率よくこなす。
その夫の画家もいかにもというキャラクターである。(日本で言えば山下清か)。
現実味がある。
ランディガード(主役のカーディーラー)の男も誘拐されるその妻も息子も皆、平凡でどこにでもいるタイプの人間である。

ただ話の発端だけ、現実性に少々乏しいだけか。
ランディガードの軽い思いつきから、とんでもない惨事が連鎖してゆく。
こういうことは、一度狂い出すと歯止めが効かずにひたすら粗暴に悪い方向へと逸れてゆく。
事態が制御不能の魔物と化してゆくのだ。
それが細かいところから、とても説得力をもって描かれ展開される。
もはや、金のためとかではなく、単に目の前の障害を取り除くためだけに殺害を繰り返す。
逆上して衝動的に。
目的すら、そのときはもはや忘れ去られている。
それが、しっかりあれば、後戻りできない危険極まりない殺人など、こんなケースで行う訳がない。

その点で逆にとてもリアルさを感じる。
日常的で普遍的で滑稽ですらある。
人間の業と哀しさが浮き彫りにされる。

多方事件など実際、そんなものである。
TVドラマで見られるあんな綿密な計画を立て冷静沈着に実行する犯人やそれを命懸けで果敢に迎え撃つ警官も共にあまり現実味はない。
犯人は皆が知能犯ではない。
警官だって家庭が大切であり、趣味も友達との柵もあるのが普通である。


配役がとてもしっくりしており、演出、特にカメラワークが良かった。
しかも一面の雪が、虚無感をいや増しに増す。
女性警察署長のフランセス・マクドーマンドの演技が特に味わい深いものであった。
妙に魅力的な女性であった。
ランディガードのウィリアム・H・メイシーも思いっきり哀れな役を演じ切っていた。


観始めたら、最後まで目の離せない作品であった。

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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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