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ブランカニエベス

blancanieves.jpg

一言で言えば、「ただ美しい芸術。」
スペイン=フランス映画という。
監督はパブロ・ベルヘル。若い監督らしい。

白雪姫の物語。
形式に拘り、4:3の画面でモノクロ字幕のサイレント。
しかし音楽は溶け込むように流れ、それがまた素晴らしい。
美しい情景に流れるフラメンコギターにピアノのリリカルな旋律。
リズムを刻む手拍子にも驚いた。
何故、このような形式にしたのか。
主人公の少女時代の横顔、飛行船の浮かぶ空をはじめどの場面も白日夢の美しさ。
この切り取ったときの美しさが4:3の方が優っている画面なのだ、と思った。
ビスタサイズでは違うのだ。
またそれは勿論、油彩やアクリルではない。
木炭というより、鉛筆の細密画であり、デューラーの硬質なエッチングというより、メゾチントの繊細な柔らかさの風合いである。
やはり普通の映画に見ない黒が美しい。
そうルドン的かも知れない。間違ってもゴヤではない。

この映画、チャップリンなどのサイレントとは明らかに違い、モノトーンを手法として採り入れたものであり、カメラワークは現代的なものだ。
演技はサイレント調の演劇的な演出による単純で強調された表現になる。
そのへんは、とてもアーティフィシャルな感覚である。(また言ってしまった、アーティフィシャル)。
ノスタルジーを形式的に狙ったものとは思えないが、少年時代の外傷経験を白昼夢に晒されたような痛みが蘇る。

物語の内容は、童話いや寓話である。
何というか、暗黒メルヘンとでも言おうか。
ミスによる事故が発端となり悪意による奸計が巡らされ、悲惨な話の連鎖となる。
サイレント形式に慣れていないわたしとしては、話の内容を掴むのが大変だった。
(体調のせいもあるかも知れない)。
中間字幕はやはり新鮮である。
わたしとしては、メトロポリス以来か。
聞かれるべき音声-意味が遅延して文字で全面表示されるわけで、普通の映画に味わえない独特の脳内処理が必要となる。
セリフにはその画像とは別にイメージが重層する。
これがいつもより、わたしを惹きつける要素となったことも間違いない。

いたるところが絵なのだが、終盤の主人公の横たわるベッド周辺の物語の殺伐とした流れがやるせないほど美しい。
監督は、絵と音楽の完璧に融合したこの上ない美しい映像が作りたかったのだろう。
無意識から紡ぎ出された映画だ。
そうとしか、想えない。
物語としてのモチーフは悲痛なものであり悲劇なのだろうが、感情的には美しさに酔うばかりである。
そのような物語のレリーフの施された極上のガラス器を息を凝らして眺める気持ちにほぼ等しい。


アベンジャーズなどのビッグ・バジェットを観た後で、まさに芸術と呼ぶに相応しい気品溢れる作品に、清々しい感動を味わった。

その清々しさは解放感とも言えるものだった。

そう、これはハリウッド形式からの解放なのだ!
(あの強引な圧倒的な押し付けからの、、、)

いま、気づいた。

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本当に作品の出来には天地の差がありますね。

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