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GOMA28

Author:GOMA28
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裸のランチ

william burroughs

カットアップやフォールドインによるイメージの生成・解体とは?
書き言葉=コミュニケーションを刻み再構成することで新たな世界を引き寄せる。

画家のブライオン・ガイシンは「文章は絵より50年遅れている」ことをその技法とこみに彼におしえたという。バロウズはその効果に驚き、それを使った制作に夢中になる。紙とハサミを小説に使った。
それは恐らくジャンキーとしての彼の知覚を精確に記述するに最適化された技法であったのだろう。
トリスタンツァラなどのダダイストやシュルレアリストたちもその技法・思想を制作にフルに使っている。
その後、ロックミュージシャンも歌詞やサウンドリミックスなどに活かしている。
もっとも深く理解しそれを音楽に応用し続けたのは、ジェネシス・P・オーリッジか。
確かにスロッピング・グリッスルの”20 Jazz Funk Greats” は完全に飛び抜けた孤高の作品だった。
何度聴いても飽きないほどにどこまでも異様に美しく虚無である。
サイキックTVの作品にしてもそうだ。

もともとガイシンはモロッコのジャジュカ音楽をテープに録ることからカットアップに行きあたったらしい。
彼はそれを絵画制作に応用した。
そしてバロウズに伝授した。
そして「ビートニク」に乗って広く世界中に伝播した。

前衛ジャズロックのソフトマシーン(ロバートワイアット)もバロウズなしには出現しなかったはず。
クローネンバーグ作品も生々しく毒々しいソフトマシーンのオンパレードだ。
そうここではクローネンバーグの「裸のランチ」の感想を述べようとしていたのだった。


わたしは原作を読んでいない。
映画はあくまでも映画であり、それを観ればよいのだが。
まずはこの映画、音楽の良さに痺れた。フリージャズが実に各シーンに効いている。
そのためか、時代性(古さ)などは微塵も感じさせない。
やはり音楽は映画にとって肝心要だ。

しかし、ここではカットアップが意識できるところは特にない。
文脈の線状性を解体するような力学は働いていない。
居心地の悪くなるようなイメージのシーンも特にない。
ただ変容したイメージのフォールドインが度々スイッチのオンオフのようになされるが、全体としての物語はスムーズに流れる。そのためとても見易い仕上がりになっている。
さらっと観れて納得できる。これでよいのか?
重奏する異様な、というより名づけ難いイメージに圧倒され目眩を起こすのも覚悟の上で観たのだが。
カットアップとは言葉をイメージ不可能なオブジェに戻す試みであるはずだから。
(少なくともガイシンの絵画はその意味でオブジェである)。

言葉や絵画や音に比べ、映像は形式上イメージがもっとも制限され解体しにくいことを改めて痛感する。
「裸のランチ」として形式をバロウズ的カットアップをもって作成するのではなく、基本的にバロウズの姿=パフォーマンスを内容的に見事に描写した作品といえようか。

映画でここまでやれるのは、やはりクローネンバーグだからであろう。
虫や虫のタイプライター、そしてほとんどエイリアン、エリートのムカデ?もいかにも彼らしい異化である。
ここでのマシーンと人の一体化はまさに官能的でグロテスクで郷愁にも染められたものだ。
何か幼年期の記憶にも繋がる思い。
内蔵的な記憶か。
あの尻が口を抑えて止めどなくしゃべりだすエピソードや「血も凍るような有害な言葉」などのセリフは多々散りばめられるが。

結局はじめて出逢った言葉の原質には触れ得たのか。
コミュニケーション以前のいや以降の世界の片鱗は垣間見れたか。
”クラーク・ノヴァ”タイプライターへのFetishな拘り。
それによってかろうじて世界に繋がる。
書き言葉(コミュニケーション)が明らかな変容を示す。
詳細明快な報告書が鮮烈な新しい詩となって打ち出されていた。
その孤絶した言語体系は意に反して友人に認められ、作家としても名声を勝ち得る兆しを見た。

しかし作家にさして興味もない彼はタイプライターを捨てて
インターゾーンでの麻薬事業を手伝うためにアネクシアに旅立つ。
万年筆を一本もって。
かつて射殺してしまった妻そっくりの女性とともに。

彼バロウズにとって、ウイリアムテルごっこが終生深く尾を引いていたであろうことは、ここでも痛ましく確認される。


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