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GOMA28

Author:GOMA28
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華氏451

451.jpg

Fahrenheit 451
1966年
イギリス

フランソワ・トリュフォー監督・脚本
バーナード・ハーマン音楽

オスカー・ウェルナー 、、、モンターグ
ジュリー・クリスティ 、、、クラリス/リンダ
シリル・キューザック 、、、キャプテン
アントン・ディフリング 、、、ファビアン

活字がどれだけわれわれの本質を形成しているか。

話し言葉は書き言葉を前提につくられている。
(書き言葉を通過しない話し言葉は存在しない)。
詞など文字として書かれなければ、誕生し得なかった。

話し言葉だけで今の高度な文節-世界の構造化が出来るわけがなく、当然文化も文明も成立しない。
書き言葉-文字が無い世界では、ヒトは全く異なる生物になっていると思われる。
しかし、人や環境を見ても今とパラレルである。

ここは最低限の文字はあっても本のない世界か。
微妙だ。
割と最近、このような状況に陥ったという世界であろう。
何にしても世界は言葉によって出来ている。
明らかに継承はしていることは間違いない。
少なくとも、科学や経済、産業は発達しているのだから、文学・思想・芸術関係の書物の排除というところか。
所謂、現体制にとって都合の悪い書物の消去。
「焚書坑儒」の世界か。

どの家にも物々しいアンテナが立っており、人々はTVしか見ない。
面白いのは、活字の一切ない、漫画の載っている新聞だ。
ノートはないのか(ワープロは)?それが気になった。
書物-思想が読めないのは兎も角として、考えたことを書き留め読み返すことが出来ないのなら、これは究極的だ。
文字が読めず、満足に書けずTVをひたすら見ていたら、思想統制以前に発狂してしまう。
それで興奮剤や鎮静剤を常時服用しているのか。
血液を取り替えたり。
スポーツを薦めたり。

レイブラッドベリは高校時代よく読んだが、この本は読まなかった。
彼の作品にはことごとく、詩情豊かなファンタジーに心奪われていたのだが。
この映画はどことなく郷愁すら感じる、ノスタルジックな色彩に彩られていた。
サイエンスファンタジーでもなくスリルもサスペンスもなく。
ヌーヴェルヴァーグ的寓話世界とでも言えるか。

監督はフランソワトリュフォーである。
しかも、イギリスで撮影したという。

消防士の乗る真っ赤な車両が何度も何度も出動する。
次々に隠された場所を突止め、本を探し出して火炎放射器で焼き尽くす。
本のページが熱気に捲れ灰になってゆく美しさ。
本に埋もれて自ら焼き尽くされる女性。
どの光景も美しい色調で丁寧に描かれている。

昇進間近の本を焼き捨てる消防士の主人公は、ジュリー・クリスティ演じる本を継承するコミュニティーに属する女性との関わりの中で、本に自分のあるべき過去と自分のありかを探り出そうとする。
本にこそ真実があり、現実があることに気づく。

終盤のBook Peopleの潜む森?は幻想的で濃密な詩情溢れる光景だ。
人間図書館の集まり。
本は焼いてしまっても頭の中にあれば誰にもみつからない。
そこには奇妙な管理社会から押し出され、理想郷が生まれていた。
独り独りが一つの作品を暗記し何時でも暗唱できる。
彼は「エミリーブロンテの嵐が丘」というふうに各自が呼ばれる。
わたしならなんて呼ばれようか?
こんなところに住みたい。

余命幾ばくも無い老人が甥の少年に本の最後の数節を口伝している。
「父は何にもまして死を恐れていました。そして父の予想していた通り、初雪が降る頃死にました。」

主人公がこれから覚えるのは、エドガー・アラン・ポーの「怪奇と幻想の物語」だ。
人々が書物を暗唱しながら交錯するうちに、しんしんと雪が降り始めた。


この世と想えないくらい幻想的な雪景色だ。

最後の最後で、大変感動した。
美しい映画であった。

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