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羊たちの沈黙

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ジュディ・フォスターの美しさが際立っていた。
コンタクト同様、権力に対して単独で果敢に挑む繊細な女性を演じきっている。
おそらくそれが、彼女自身の人間としての魅力であり、基本姿勢なのだと思う。
そしてこういう映画を彼女は作りたいのだ。
ここでは特にバッファロー・ビルの自宅に単身で乗り込み銃を震えながら構えて立ち向かっていく姿に実感する。
男社会の権力構造を中央突破しつつ、ハンニバルとの取引から引きだしたヒントから犯人の巣窟を割り出し、身を張って対決する。
その姿は、他のどんな女優よりも美しい。
例え脚本と監督が揃っていても、ジュディー・フォスターがいなければやはり成り立たない。
彼女の完璧な理解と信念があって、はじめて成立するものだ。
この役を他にやれるとしたら、強いてあげれば、Natalie Portmanか?

そしてハンニバル。
アンソニー・ホプキンスの放なつ、尋常ではない魅力。
「完全な異常だ。」と言われてもまさにその通りとしか言えまい。
生命体として単独の系を生きている。
エイリアンだ。
その意味で、若き実習生:クラリスとは、馬が合う。
幼くして父を亡くしたクラリスにとっては、ある意味父親的に頼れる確かな存在である。
(周囲の男が皆権力欲ばかりで右往左往しセコイためもあり)。
間違いなく彼女を怯えて立ち尽くす羊の悪夢から救った存在である。
彼女はお礼を義務的に上司に述べてはいたが、実は本当に感謝の念を抱いているのは彼に対してである。
ハンニバルが彼女の卒業パーティーにわざわざ電話をよこすというのもよくわかる。
彼の気質からも、クラリス同様、あのチルトン医師のような男はつまらぬ存在であろう。
「これから昔の知人に会うところだ」とエンドロールで船に向かう彼の後をつけて行くハンニバル。
さぞ派手な屍体が甲板かどこかに飾られるのだろう。
(ハンニバルの知性については納得できるが、屍体加工の体力がわたしの想像を絶する、ところではある、、。)


わたしはこの続編がリドリー・スコットによって撮られていることは知っているが、見てはいない。
この‘羊たちの沈黙”が完全にジュディー・フォスターとアンソニー・ホプキンスの映画であるからだ。
ひどくナイーブで過激な単独者同士の稀有な”コンタクト”を異常な緊張感をもって見られるからだ。
これが見れないのでは、少なくともわたしにとっては続編ではない。

続編は、シンプルに”ハンニバル”ということだから、彼をもっと見たければ充分に見るに値しようが、わたしはドラマ的にもクラリスとハンニバルの関係をさらに掘り下げてゆく過程が知りたい。
ハンニバルの凄さ、まさに文字通りの凄さ、をのみ味わいたいという気はあまり起きない。
リドリー・スコットとしては、あの”エイリアン”の延長上のものとなるだろう。
大変凝ったものになっているであろうことは、充分に想像できるのだが。


この”羊たちの沈黙”はジュディー・フォスターとアンソニー・ホプキンスがお互いに相手を際立たせて魅力を輝かせてることが分かる。




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