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パッセンジャーズ

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「海辺を歩いた。大きな篝火が燃えていた。」”生存者”が語る。

映画で記憶がテーマになるものがどれだけ多いか。
人間の生そのものが記憶に支えられている以上、人間を描くとなれば記憶に何らかの形で関わることは不可避である。
ここでは、”想念”と言うべきか。
100%想念の世界が描かれていると言える。
これはこれで完結できる世界である。
(しかし破れ目はあちこちにある)。
臨死体験は文字通り体験であり、本人が気づいて行動をとっていいる。
自分の立場を知っている。

ここでは、自覚が無い。(主人公が最もない)。
そして、自覚した人から一人一人と消え去ってゆく。
逝くべきところへと。

突然,生を切断された意識とはこういうものなのかも知れない。
当然、事故に至るまでの忌まわしい恐怖の記憶もその間際に芽生えた恋愛の情も、もろろとも、散り散りに飛ぶはずだ。
飛行機に搭乗したことも消えている場合がある。

物語が進行するに付け、セラピストである主人公(Anne Hathaway)はカウンセリング相手のクラー”生き残り乗客”の躁状態の突飛な振る舞いに翻弄されつつも悲痛な孤独に深く向かい合ってゆく。
彼は苦悩しつつ疑っていた。
そして何度も何度も試していた。
できれば、事故でもう一回生まれ変わりたい。
生を感じたくてより際どい刺激を求める。
やがて彼は認識する。
身の回りに現れる人々やかつて大事に飼っていた犬の訪問をうけるなか。
彼女も、何故彼に心惹かれることになったか、本当の理由に気づいてゆく。

そうなのだ、彼女を監視するように後を追っていたのが、航空会社の生存者監視役でもなんでもなく、事故の当事者であった。
彼女はこの男に航空会社の事故原因隠蔽工作のため生き残りが口封じのため消されていると思い、真相を追求していたのだ。
「わたしが悪いのだ。」彼は言い残して去ってゆく。
(事故の真相は闇のままである)。

彼女は彼のバッグの中の事故機の搭乗記録を見て愕然とする。
接触(連絡)したくともできないでいる、仲直りを切望している姉に向けて悲痛の叫びをあげる。
だが、その声は決して届かない。誰にも届かない。
一番深く現実に触れていなかったのは、自分であったことを悟る。
(セラピストであるため全てをその専門言語で還元してしまうことで、物事が見えなくなる)。
そして、全てを知る。

彼女の孤独と張り裂ける切なさが一気に押し寄せる。
見事にこの時までに彼女に対し感情移入していた。
最後の最後にこれまでの流れとともに強く胸を締め付けられる映画となった。


アン・ハサウェイ、共演の パトリック・ウィルソンともに繊細に揺れ動く情感表現が卓越していた。

特にこんな役柄、彼女にはぴったりである。



どうしても、観ながら気になっていた件。
セラピスト女史がTV・新聞(雑誌)というものを全く見ようとしないというのに違和感を覚えました。
彼クラーが意識的に見ないとしても、それは分かります。
あの状態・立場ならわざと避ける。自分だけの世界に閉じこもることは充分考えられます。
基本的に町には出ないから部屋になければ見ようもない。
しかし、アン・ハサウェイが見ないのは、ちょっと不自然な気がします。、
見れば(見てしまうことで)分かることがある。航空会社の公式発表にも彼女にとって大事な点が当然含まれるはずですが。
なにもあのメッセンジャーに導かれるまでもない気もします。

日常で関係できる人や物が激減したはずですが(そのかわり現れるはずのない人が出てくる)、そしてやはりルーチンをこなす中で自ずと違和が細部に不可避的に出るはず。何日くらい流れたでしょうね。短時間で持っていけば然程無理は出ないとは思う。ちょっと日数が気になるところだった。他の同僚とかに声をかけたりなど自然に考えられる。姉の反応なしは彼女にとっては喧嘩が原因と受け取れたにしても。
実際のものには、関われないが、船やオートバイは、全てふたりの共有想念で現出できるはずです。
搭乗者名簿などの書類は、事故当事者のメッセンジャーが持っていたものなら想念上のモノとして関われます。
急に彼が前に飛び出した車の運転手は、彼を知っているか、特有の存在として彼を眺めたかどちらでしょうね。

全体のトーンをある幅に絞って基本的な線をしっかり引いた作品だとは思った。

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