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情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実

911.jpg

今更であるが、何故か2つのフィルムを観てみた。
どちらもセンセーショナルなフィルムではあったが、感動を覚える類のものでは、全くなかった。
そして「情報」というものをやはり考えさせられる。
情報の「意識」と「無意識」である。

やはり、戦争や環境危機など生命の危険を煽る物事は、人々の関心を強く惹きつけ、ビジネスチャンスも飛び抜けて大きい。
そういうものだということがよく分かる。
本当はエネルギー、食料問題が途轍もなく大きいものだが。

またその情報は、見事に階層構造の下、政治的に操作された形で降りて広がる。
既得権(オイルマネー、小泉も大いに絡んでいる)と軍事ビジネスの拡大のため。
「華氏911」においては、何より改めてアメリカの「意識」または「無意識」が非常に気になった。
ブッシュの悪巧みをクローズアップすることで、それらをグロテスクにコミカルに描きあげている監督の手腕は見事である。
ここにアメリカ覇権主義の本質が様々な局面から露呈されていると言える。

わたしが、終盤のノイローゼとなった米軍兵士や息子を亡くしたアメリカ婦人に素直に同情できない点でもある。
少なくともイラク国民の解放などと謳って、民間人をCDを聴きながら砲撃したり爆撃することが何を意味しているか、どれほど教育のない貧困層であっても分からぬはずがない。知識の問題ではない。
いかに情報の操作を受けていて(イラクが核兵器を製造している)、貧困から逃れる術であったとしても。
自分の大切なひと、家族を顧みたことがないのか?
これは、想像力の欠如もあるにせよ、そもそも想像しようという意思すらない歴史的傲慢さのなせる業である。
差別主義丸出しであるこの点だけもってしても行為の正当化など出来るはずもない。
なにもアメリカがブッシュの時だけ悪事を働いてきたわけではない。
華氏911は、「アメリカ」に風穴を開けるよい機会を提供してくれた貴重なフィルムのひとつだと思う。
ひたすら不気味極まりないホラーではあったが。


映画「バベル」のあの言葉がまた蘇る。
「わたしは悪い人間ではない。ただ愚かなだけです。」
これは、情報を操作された環境にあれば、誰にも当てはまってくる。
何も北朝鮮だけが特殊な場所ではない。
日常にいくらでもその場所は発生する。
映画「コンプライアンス」を観ても、どれだけ人が権威に操作・翻弄され易いか、暗示・催眠にかけられ易いかが、まさにグロテスクなまでに描ききられていた。

さらにそれを仕組んだように思われているヒトもそんな意図など全くもっていなかった場合も有り得る。

SF作家バラードの言うように、懐疑的な思考と視座は緩めてはならない。
また自分の身体感覚を軽んじてはならない。
わたしも改めて肝に命じたい。


さて、ブッシュにまんまと大統領の椅子を攫われたアルゴアの「不都合な真実」である。
CO2の保温効果で地球温暖化が進み、その気候変動よる自然災害が全世界的に引き起こされるという物語である。流石はプレゼンテーション・広告の国、アメリカという出来栄えである。体系的に構築された手法によって作られている。
タッグを組む元データを提供するIPCCはCO2=地球温暖化を前提としている。
これもまたホラーである。

このフィルムにとってもっとも致命的となったのは、データの改竄と誇張であり、それによる扇動である。
科学的な説得の根拠ともなっていたあのホッケースティックグラフがまっかな嘘であり、ここ百年気候は大きな変動もなく推移している元データも公表されてしまった。
IPCCの気候変動報告書の改竄(クライメートゲート)はまことに決定的であった。
(その後続々とCO2=温暖化を覆すデーターが明るみに出てきてしまう。1940~1975にCO2が急激に増加した際、地球は寒冷化状態であった。人為的CO2排出のない中世の方が気温は高かった等々。)
アルゴアのフィルムにある北極の氷が溶けてしまう予想に反し、今その氷は増量している。
仮に北極の氷が全て溶けても、それが原因で海面が1mmすら上昇することはない原理は小学生も心得ている。
南極も気温が上昇すれば返って雲が多く発生し、それによる雪で氷が増えることがシュミレートされている。

しかし過去100年で、0.7度上がっているという研究者もいれば、0.5とかほとんど変わりないと主張する人もいる。
そもそもわたしなどは、この気温というもの、どこでどう測っているのかも分からない。全体イメージは難しい。
ヒートアイランド現象などに常日頃馴染んでいる都心のビジネスマンなら、温暖化イメージは入りやすいだろう。

気象状況など、大変複雑極まりない要素の絡み合いで決まってくるはずであり、誰もが局所的体験しか持っていない。そのへんの把握の難しさ共通感覚の持ちにくさがデータの改竄を呼び込む余地を作っているところもある。

しかし基本として、その決定要因は太陽活動とされる。
地球の気象-温度を決める大きな要素は、太陽活動、その影響による宇宙線量に従った雲の生成、比熱の高い70パーセントを占める海と潮の流れなどである。
そこに人為的CO2の作用はほとんど無い事が以前から根強く科学的に説明されている。
地球の地表レベルで(保温効果で)閉じるものではなく、絶えず宇宙との関係において地球環境が決まる。

現に今、確認できる情報の範囲でも地球温暖化が感覚的に納得できない状況にある。
世界各国のこの冬の圧倒的な寒気と歴史的積雪など、身に染みている人は多いはずだ。
ナイアガラの滝が凍りつき、エジプトに雪が降り、人々は学校・勤めをサボって珍しがっていた。
夏の猛暑日もなかった。
これまで温暖化研究の陰に隠れていた研究者たちの見解によれば、現在地球は寒冷化に向かっており、今後更にそれは進行し2045年から少なくとも2055年には小氷河期に突入するという。
太陽の活動が周期的減衰期(11年周期)からいつまで経っても回復しないのである。
太陽にいつまでも活発な活動を示す黒点が見られない。
この現象は、200年に1度起きると言われるマウンダー極小期にあたるという。

アルゴアのこの科学的にも感覚的にも了解し難い政治的プロパガンダの目的とは何か?
(ノーベル平和賞という権威に預かっても、アメリカにおける学校上映は、保護者からの提訴で上映禁止になっている。このフィルム、科学的根拠と人々の共通感覚にそぐわなかった事がよく分かる。)

CO2と温暖化を結び付け、CO2を原理的にほとんど出さない原発のクリーンエネルギーを印象づけるためである事が最も考え易い。
原発推進派や温暖化ビジネスの利権を守る又はこれを拡大する目論見であろうか。
しかしアルゴア自身が原発推進派であることからしても、余りにそれは見え透いている。
労力対効果がこれでは割に合わない。
これだけ大掛かりな装置まで作ってやらなくても他に効果的な方法はいくらでも見つかるはず。
彼は、恐らくこのドキュメンタリーを使命観をもって作っているようには窺える。
思想背景の一つとして考えられることといえば、スティーブ・ジョブスにも多大な影響を与えた「ホールアース・カタログ」のスチュアート・ブランドが、原発推進派に転向したことが思い当たる。グリーンエネルギーを提唱する指導的立場のエコロジストであった彼の動向は波紋を呼んでいた。彼の背中を押す思想は様々なものがあったはずだ。
反ブッシュ(共和党)の姿勢も政治的に勿論あったはず。

わたしは、アルゴアの主張そのものには同意し難いが、化石燃料にこの先も依存し続ける部分に対しては同様に反対だ。
CO2の固定に関しても、同様に賛成だ。
循環可能エネルギーの開発についても賛成だ。
そもそもオイルがマネーとなる世界はなんとか終焉してもらいたい。
そしてエネルギー問題、CO2の固定、食糧問題。
今、何より取り組むべき事業は、人口増における食糧とエネルギー問題である。
これをなおざりにして、利権の保持拡大を図る輩の操作に乗ってる場合ではない。
寒冷な環境下にも耐える食物の栽培と充分な栄養素の確保。
有限な化石燃料に変わる循環可能エネルギーの生成である。
日本のベンチャー企業「ユーグレナ」の奮闘に期待したい。

日本がこのブームにやけに軽く乗ったのは、何故であろうか?

早急にビジネスチャンスと判断したのだろうか?
実際、CO2は金の成る木と言われていた。
あのエコ対策。ゴミ分別。有料ゴミ袋。エコバッグ。
炭素税・環境税がらみの税金に加え、温暖化研究者には、予算が計上される。
ハイブリッド・カー。エコカーの奨励。TVCMも多方面、沢山あった。
美術の時間に生徒の描いた、地球が水没するポスターなどが街頭に貼られてもいた。(あんまりである。北朝鮮と変わらない。)

それがそのまま無批判に受け取られていたなら、寒さに凍えながら温暖化に怯える光景が現れる。
ピーター・ブリューゲル(16c)がこの状況を見たらどの様な絵を描くであろうか?
彼は丁度、前回の小氷河期に(マウンダー極小期)オランダに生きた画家である。
彼の絵をよく見て欲しい。あの貧しい農村の果てない雪景色を。
穀物の収穫は大打撃を受け、更に黒死病が大流行した。
あの当時、イギリスのテムズ河は完全に凍りついていたそうだ。
あの絵のまさにひりつく美を。(可視光線を吸収する物質が大気中になかったことに感謝である。)

入院した病室は広くて助かったが、とても寒かった。何故か心細いものであった。
その感覚が今回この事を一言書いてみたい気持ちを呼んだ。
アングルの名言が思い浮かぶ。「人は暑さで死ぬことはないが、寒さに死ぬことはある。」
自分をドラクロワと比較して述べた言葉だ。
これ自体は彼らの違いを浮き立たせる絶妙な表現だが、結局どちらにしても人は死んでいる。

最近よく宇宙物理で話題になる「人間原理」でも説かれているが、人はこの宇宙という途轍もなく微妙で特殊な物理の数値上に、辛うじて発生し生かされている事が判明している。
ここに神を見る科学者も少なくない。(インフレーション理論では神を持ちだなくても説明可能となるが)。
要は、人類の生存(発生)にとって環境が如何に肝要であるかである。
その生存欲求に対してはやはり誰もが生命体として過敏になる。
つまりは、それをある意図の元に上手く操作すれば、全世界的な動きになりかねない、と言える。
ice.jpg




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COMMENT

胸が痛みます・・・。

言い古された感のある霞ヶ関文学ですが。

日本もいかにも
民主主義国家のようでいて
”官僚”が権力な国なんですよね。
と申しますのも
社会を見渡せば悉く彼らが
政治家、財界、mass mediaを従える構図が
見てとれますから。
結え、
何より先ずメディア・リテラシーが求められるんですね。
私たち大人がしっかり
真偽を見極め行動して行かなければ
そのしわ寄せを受けるのは
すべて子供たちなのですから。

「情報」こそが・・

「人間の生存欲求に関る情報」の操作。
我々はこの大がかりな仕掛けに対し、
どのような態度で臨むべきか。
深く考えさせられます。

例えば、湾岸戦争におけるアメリカ側とイラク側の、
全く異なる風景の見え方。
例えば、東京大空襲や広島・長崎に対する日米間の、
永遠に平行線を辿るであろう見解の相違。

この世は所詮『マトリックス』のようなホログラムである――
としても、広義の意味での「情報」によって
限りなくズレていく人間存在の深い溝と孤独に、
不思議な哀しさと絶望と同時に
矛盾していますが”美しさ”のようなものを感じます。






ありがとうございます


> そのしわ寄せを受けるのは
> すべて子供たちなのですから。
まさにその通りです。
というか、そればかりが、気がかりです。
あのフィルムにあった、イラク人の父親が死んだ子供を腕に抱え「私たちが何をした!」
と叫ぶ声に、彼らはどう答えるのか!
所詮耳にははいらないのでしょう。
アメリカで待つ母親たちは息子の武勲を称えるのでしょう。
たまたま子供を亡くした母親が政府に対する疑問を持ち始める。
今の日本も危ないです。

ありがとうございます


> 永遠に平行線を辿るであろう見解の相違。
原爆投下をいまだに、戦争を終結させるための有効な手段であった、などと正当化するアメリカ人がたくさんいます。

> 限りなくズレていく人間存在の深い溝と孤独に、
> 不思議な哀しさと絶望と同時に
> 矛盾していますが”美しさ”のようなものを感じます。

ひとつの表現作品となると大変荘厳で美しい悲劇になります。
ニーチェのいうような。

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GOMA28

Author:GOMA28
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絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ることもあります。
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