スウィング・ガールズ ~プリキュア

ほのぼの、楽しめる映画であった。
観終わったあとで、ホックリできる(素朴さを増す方言も良かった)。
ここで、何故素人が短期間にあそこまで上達したのか、などは突っ込むところではない。
ヒトが何かに夢中になる契機とそれに取り組んでゆく過程が危なっかしくも一途に活き活きと描かれている。
概ねこういうものだと共感できる。
特に数学の先生はよかった。良い先生とはああいう先生ではないかと思う。
わたしは、プリキュアよりもこういうものを子供に見せたい。
何であっても正義が悪をやっつけるなどというものは、精神衛生上よくない。
それこそ悪い思想を子供たちに植え付ける。
さらにあの押し付けがましいワンパタンの鬱陶しさ。
その回路で喜んでしまうというのは、心の発育上問題だと思う。
現実-生活の様々な価値に立脚したものでこそ心を温めたい。
ジャズバンドに熱中することで音楽によって共感を広げ、普通の世界を豊かに生きがいのあるものにしてゆく、そんなありきたりの姿に感動が得られたなら素敵なことだ。
誰ひとり抜きん出た人物はおらず、悪意のヒトもいない。
そんななか主人公の男女の心の機微も瑞々しく、上手い具合に演奏(上手くなってゆく)が挿入されて展開してゆく。
楽しい物語だ。(そう言えばインド映画のあのダンスに入るタイミングも凄い。関係ないが)
普通の生活の複雑さと豊かさを味わうには、ひとつは何かに夢中になることだと思う。
そこから深さが生まれてくる。
世界が自分の場所に凝縮して近づいて来る。
自分の充足に比例するように。
何も変わらないが、確かに変わっている。
世界がそのままで、自分にとって親和的なものになってゆく。
最後に、演奏を終えた少女の笑顔がすべてを語っている。
*出演者が皆、練習をして実際に演奏してることが微笑ましい。プロの演奏とは異なる耳で聴くことができる。
映画の終盤のヴィデオです。
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