ベルリン 天使の詩

この人間の世界-次元には色彩がある、ということを再認識させてくれる映画か。
しかし天使の世界に色相がないというのは不思議な気がする。
天使はいつも眩い光に包まれて降りてきた。
ラッパを吹き鳴らしたりして、華々しく。
このカラーとモノクロの対比は。
感性によって瞬間を享受しつつ生きてゆく世界と完結し全てを見通せるが何にも触れることの出来ない世界との対比なのか。
確かに天使側から世界を感じたことなどない。(当然であるが)。
そのような絵も描かれてこなかった。
そもそも天使とは何か?
天使は教理によって否定されたり、人格をもった存在であったりする(キリスト教の中にあっても)。
通常、神と人間との間に位置する存在となっている。
神の御使いである。
ヒトより優れた能力をもつ肉体のない存在である。
ちなみに悪魔は堕天使のことである。
ミカエルなど高位の天使と、何やら普通の?天使がたくさんいるらしい。
ここに出演している天使は、さほど重責を担っていない自由な天使?に見える。
彼らはヒトを見守っているようであるが無力である。
また、自分たちの在り方を退屈に思っているようだ。
確かに時間から解かれ全て完結している世界にあって、触れえない人の世界を見守るのは、実質無意味であろう。
退屈するなんていうレヴェルではあるまい。
時間的存在で、未来に対し盲目であっても今を感じる事ができる人に憧れるようになる。
そして人間界に共感できる女性を見つけたら、死すべき運命を受け容れて人になってもみたくなる。
それで天使は決心して、人となった。
色彩に驚く。
血の赤に。青に。黄色に。
そして、コーヒーを味わい、寒さに手を擦る。
この感覚が愉しく愛しい。
数年前に人になった先輩天使(ピーター・フォーク)に「自分で発見しろ。面白いぞ。」と言われる。
人として次々に何をか発見しつつ生きることは、実は愉しい事なのだ。
感性の世界!
それを最も濃密に享受しているのはきっと芸術家であろう。
そうつくづく思った。
そして彼は例の彼女に出会い、結ばれる。
音楽、音響と映像との溶け込み方、奥行がいかにもヴィム・ヴェンダースである。
「パリ・テキサス」でも堪能できた彼の独壇場と言える。
全編が圧倒的に美しい廃墟のPVだ。
すみません。
昨日の「ヴィデオドローム」を全面的に書き換えました。
再度、宜しくお願いします。
書いている最中に寝たのは、初めてです。
- 関連記事