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階級関係~アメリカ(カフカ)を観て

kiriko.jpg
Klassenverhältnisse
1984年
西ドイツ

ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ監督・脚本
フランツ・カフカ「アメリカ」原作
ウィリアム・ルプシャンスキ撮影

クリスチャン・ハイニシュ
ライナルト・シュネル
マリオ・アドルフ
ラウラ・ベッティ
ジェーン・ワイアット


まるで、キリコの絵画を見ているような気分になった。
噂に聞くストローブ=ユイレ監督作品。
間合い、行間、独特のフレーミング、空白と沈黙。
廃墟そして乾き。
自在な時間感覚。
疾走する失踪者としての主人公。
同時に挑発的な挑戦者。
その疾走する線は休むことなく、最後にはアメリカ南部オクラホマに続いてゆく。
ニグロと名を変えて。(なんと挑発的な!)

カール・ロスマン、タフでポジティブな人物の多いカフカの小説の登場人物の中にあって特に際立つ若者である。
そしてこの失踪者(アメリカ)は、もっとも挑発的でエネルギーに満ちているが、もしかしたらもっとも絶望的な場所に向かう主人公かも知れない。
 
全編どうにもならない階級関係のなかで展開してゆく。
しかも闘争と逃走が向かうところで必ず繰り広げられる。
(カフカの小説では特に「審判」で階級の権力関係は露出する。)
大変原作にも忠実な映像描写への転換であり、過剰なイメージ・思想の追加などの饒舌さと変奏はない。
確かな読み・構造化により、非常に禁欲的で崇高な映像に編集されている。
ここでは表題にもなっている「階級関係」としてつかみ出している。
ちょっと、ゴダールを思い浮かべてしまう簡潔な手さばきである。
役者は素人が演じているという噂を聞いたことがあるが、そこがまた良い効果を産んでいる。
内面を欠いた人物たちと風景を途切れなく見続けると、わたしもその夢の中に知らず入り込んでゆきそうになる。

そう、夢のような空間飛躍は、昔関わってしまった悪党に歌手の家に幽閉された後、唐突に希望に満ちた”オクラホマ劇場スタッフ募集”の広告に出会うところである。「12時までに応募しなければ永遠に希望は閉ざされる。」
幽閉場所からの脱出劇をわたしは見損なったのか、眠ってしまったのか、もう一度確かめる必要はあるが、ロスマンの意識はもう汽車に揺られ、微かな笑みを浮かべながら南部のオクラホマへひたすら向かっている。

素敵なエンディングだ。
この映画、他の映画とは次元の異なる構造をもっている。
映画を観た気がしない。

では何を見たのか?
わたしも夢を見ていたような気分だ。
ロスマンとともに。




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